レジストレーションエディットの前にもう一度スコアを読む

新潟での有意義なリハーサルを終えて東京に戻ってきました。緊張から解放され、久しぶりにまとまった睡眠を取ったところで、更なるグレードアップを目指していきます。

今回のことのみならず、リハーサルでは自分の演奏以外のことに意識を集中します。自分の演奏は自分自身の稽古でいくらでも磨けますが、全体の中でのことはこの時にしかわからないからです。

これはソロ演奏の時も同じで、自分の演奏がいつもと違う空間でどう響くのかをしっかり把握し、違和感があるとすれば、原因を探って解決します。

今回、新潟でのリハーサルでは、多くの課題が見つかりました。ひとりで弾いている時には、結構いいバランスで聞こえていると感じていましたが、合唱と合わせてみると、指先のコントロールだけでは解決できない違和感が。

また、指揮者と合わせたことで、微妙なテンポ感や音楽の流れの違いなどが明らかになり、それに対処するためのレジストレーションエディットが必要です。

どうするべきかがわかったら、早速編集作業に入りたくなりますが、ここはワンクッション置くのが得策。それは、イメージだけで作業を進めると、作品が持つ根幹からぶれる危険があるためです。

作業に入る前に、もう一度、フルスコアをじっくり見直します。緻密に練って書き上げられたフルスコアは、ヒントの宝庫。編曲の段階で、どんな小さな記号も見逃さずに読み取ったはずでも、すべてを演奏に反映させるまで消化するには、何度も繰り返し解釈する必要があります。

今回は、帰京してから丸一日鍵盤に触れず、フルスコアと自分で作成したエレクトーン用スコアとを見比べ、更に理解を深めることに時間を費やしました。

すると見落としや失念箇所が次々と見つかります。それらをもう一度頭に叩き込んで演奏に反映させれば、ぐっと洗練度が高まることでしょう。

レジストレーションのエディットはそれから。単に部分的な聞き映えだけで編集せず、理由と目的を持って作業に当たる方が、完成度の高い仕上がりになります。

たぶん、もう一日くらいは楽器から離れ、スコアリーディングとイメージングに勤しみます。7日の本番まで、この演奏会のために割ける時間は限られていますが、だからこそ有効な時間配分を考慮して取り掛かりたいものです。

以前にもここで書いた通り、今回の合唱団との共演は、よい演奏をするだけでなく、指揮者が持つエレクトーンに対するマイナスイメージを払拭する目的があります。

そのため、演奏の完成度だけでなく、協調性や柔軟性、音楽への思い入れ、加えて頭の回転の速さや、作業のスピードなども含めて品定めされているのだという気持ちで臨んでいます。

私は、お客様に対してエレクトーンの価値を高めるチャンスには数多く恵まれていますが、第一線のプロに対しては滅多にありませんので、今回は貴重なチャンス。

次の世代で活躍する若きエレクトーン奏者のためにも、エレクトーンの可能性と実力を理解してもらえるよう努めていくつもりです。