天国の記憶

夢とも現ともつかない浅い眠りが続く中、今朝は美しい夢を見て、これまで味わったことのないほどの幸福感に目覚めました。

私が夢の中で辿り着いたのは、まさに天国だったのだと思います。そこはふだん想像していた天国の様子とは少し違い、未来都市のような整った環境とともに、溢れんばかりの自然が共存する心地よいところでした。

どうやら時は夜。草むらの一角に四角い池があり、その中央にガラスでできたキューブ状の建物が見えます。そこに入ると、この世の誰もが創造し得なかった美しいものたちが展示されており、それらはなぜか私の意識に反応して、形や色を次々と変えて行きました。

足元の床は、無数のダイヤモンドとブラックオニキスのモザイクで描かれた文様で飾られており、これも私が文様を認識した瞬間に、次の文様へと姿を変えます。

外から聞こえる楽しげな声に誘われ、その方へ行ってみると、巨大なサファイアを透過してくる紫の光に包まれながら、子どもたちが輪になって遊んでいました。その中心にいるひとりの成人は、すでに他界したかつての友人です。

すぐさま駆け寄って声を掛けても、その人は私を知らないと首をかしげます。でも、私の肩にそっと触れ、心配ないという面持ちで静かにうなずいて見せました。

すると私の全身からすべての苦しみや痛みが消え、震えるような幸福感でいっぱいになったのです。

ほどなく目覚め、それが夢であったと知りましたが、肩に触れられた感触や、風景の印象ははっきりと覚えています。