宍粟でのおもてなし

8月21日、兵庫県宍粟市で演奏会が開催されました。この地での演奏会は今年で三回目となり、夏になり蝉の声を聞くと宍粟を思い出すほど体に染みわたっています。

演奏会は回を重ねるごとにグレードアップしています。初年度はエレクトーンの紹介も兼ねてバラエティに富んだ選曲で楽しんでいただきましたが、今年はついにクラシックオンリーとなり、聞きごたえのある充実したプログラムを演奏しました。

それにつれ、お客様の聞き方も大きく変化しています。一番の違いは集中力です。音楽を聞くという雰囲気が完成されていて、演奏の妨げになる要素が何ひとつない理想の環境を与えてもらいました。お客様おひとりおひとりが集中しているばかりでなく、皆さんに見えないつながりが生まれ、ひとつの美しい心にまとまっていることが舞台に伝わってきます。音楽は魔法。それをしみじみと実感する場面です。

その一方で変わらないものがあります。それは主催する宍粟労音の方々による歓待です。まず私がホールに到着するのを歌で出迎えてくれます。その時の皆さんの笑顔のまぶしさといったら、どんな悲しみも吹き飛ばしてくれる勢い。楽屋に入れば、楽しい飾りつけにまるでピクニックに来たかのような気分を味わえます。昼食は手作りで、素材もほとんどが自家製というから驚き。今年は丹波黒豆や大粒の栗も並びました。

そのおもてなし精神は、終演後にも続きます。皆で手分けをして後片付けを済ませ、同じ会場内にある別室で終演後の集まりが開かれました。そこにも手作りの料理や、親子でこしらえたというお菓子、家で採れた色の濃いスイカなどなど、とても食べきれないほどのごちそうに囲まれます。そして、演奏を聞いた感想をひとりひとり発表。どのような気持ちで聞いてくれていたのかを知り、私は胸がいっぱいになりました。

来年は宍粟で第九コンサートが企画されています。そのお披露目の意味も込めて、今回の演奏会の中に、第九の有名な部分を歌ってアピールするコーナーを設けました。10人くらい歌ってくれるのかなと思っていたのですが、リハーサルの時に80人もの方々が集まっていることにびっくり。いざ歌ってみれば、会場が割れんばかりの大迫力。これには度肝を抜かれました。この勢いで合唱団を募り、稽古に励めば、きっと素晴らしい第九演奏会になることでしょう。楽しみです。

image