幾千の白菊

小樽での葬儀が終わり、東京へ戻りました。幾千の白菊と幾百の胡蝶蘭に囲まれた祭壇は、まるで慈愛と安らぎの象徴のよう。何時間もの間、見つめながら故人に語りかけて来ました。

思えば今日は七夕。願いを込めるとすれば、「音楽がより深く人のこころに届くように」でしょうか。私はそのために必要な力が欲しい。

故人は生涯を奉仕と博愛に捧げた偉大な人でした。甘ったれたところを見せれば、たちまちぴしゃりと断じられましたが、その陰には確固とした愛情が感じられました。

その生きざまは、私には到底まねできませんが、音楽を通じて子どもたちを導く立場にある身としては、まさに手本そのものだったのです。

もう迷った時に導いてはもらえなくとも、在りし日の言葉やまなざしを胸に、まっすぐ音楽の方を向いて進んでいこうと思います。

空を見上げて、深く呼吸をし、そのにおいを胸いっぱいに吸い込んで帰って来ました。