忘却の嵐

最近、物忘れが著しくなりました。以前から何かを考え出すと、それに集中してしまい、注意が散漫になる傾向にはあったのですが、これほどまでとは。特に、旅の途中の忘れものが急増中です。

うっかり忘れるというのとは、ちょっと状況が違うような気がします。シンガポールに行く前の週、ちょうど大阪から東京への飛行機に乗った際には、座席にカメラを忘れました。

問題は、それに気付くのに、非常に時間が掛かることです。カメラを使おうと思ったら見当たらず、最後に使ったのはいつかを考えたところ、機内であることを思い出しました。

早速、航空会社の遺失物問い合わせ窓口に電話をしたところ、とても丁寧かつ迅速に対応してくれ、カメラは数分で見つかりました。

それをシンガポール行きの飛行機に乗る時、空港で受け取れるように手配してくれたのも、窓口の係。あまりに親切だったので、直接会って礼をいいたくなったほどです。

さて、これでシンガポールでもたくさん写真が撮れると安心し、今後は忘れ物をしないよう、一層注意しなければと思いを新たにしつつ、その足でチェックインカウンターへ向かい、荷物預けとチェックイン手続きを。

カウンターにはバッグを置くのに便利な棚があって、そこにパスポートやクレジットカードの入った長財布を置いて、バッグからeチケット控えを取りだしながら「こんなところに長財布を置いて忘れたら大変だ」と思っていました。

ボーディングチケットを受け取り、大事なものバッグにしまったことを確認してから、土産物店や展望デッキをのぞきに行った後、そろそろ中に入ろうとゲートに行くと、手荷物検査場が1か所しか開いておらず、長い列ができていました。

これに並ぶのはいやだなと思って、カウンターの人にクルー優先のゲートを通ってもいいかと尋ねに行くと、「神田様、ポーチをお忘れになりませんでしたか?」と逆に尋ねられました。

バッグに入っているはずなのに、見るとありません。あの時、気を付けなければと思ったまではいいのですが、次の瞬間には忘れてしまっていたようです。

旅する上で最も大切なものが入っている長財布を忘れるなんて。すっかり自信をなくしてしまいました。

親切な航空会社の係員に救われたばかりか、クルー優先ゲートまで見送ってもらい、気を取り直して出発。

シンガポールでも、レストランの席にバッグごと忘れるなど、ハプニング続出でした。これからは手ぶらを基本とすべきなのかもしれません。

紛失から救ってくれたのは、いずれも日本航空の方々でした。以前、エールフランス機内にカメラを忘れた時は、入国審査を通過してすぐに問い合わせたのに、ないと言われたことも。まあ、忘れないに越したことありませんけど。