東京から11 時間~下甑島への旅

今回で三年目となった鹿児島県巡回コンサート。明日の初日にのぞむため、鹿児島へ向け出発しました。

今年は都合で同行できなかったTANEちゃんの代役に、名古屋で共演する米津真浩さんに加わってもらうことになりました。他のメンバーはお馴染みの波多江史朗さん、石川昇平さん。そうです、ほぼそっくり名古屋の顔ぶれでのツアーが実現しました。

先週までは姜建華さんのツアーに参加していましたが、その際は私が最年少でした。今回は私が最年長かつ座長ですので、共演者にもエージェントにも気持ちよく過ごしてもらえるように心がけたいと思います。

東京から鹿児島への飛行機には、波多江さん、米津さん、エージェント、そして私の4人が搭乗し、大阪から来る石川さんとは鹿児島空港で待ち合わせです。機内でカメラ片手に窓の外をのぞき込む三人。何を見ているかというと・・・

富士山です。上空から見る景色は、いつ見ても壮大で神秘的です。

鹿児島空港でランチをした後、車で串木野港へ向かいました。港では楽器を運搬してくれるスタッフと合流。車には一緒に巡回するステージアも積まれています。待合室で待つこと約2時間。今日の最終フェリーに乗り込み、船室でくつろぐも束の間。夕暮れの風景を眺めようと、一同で甲板に出てみました。

上り高速船とすれ違い。

日中は小春日和でしたが、日暮れとともに風が冷たくなってきました。雲も多くなり、次第に天候は下り坂のようです。

船内に戻り、早速作戦会議。特別船室の半分をほぼ貸切状態で使えたので、波多江さんはサックスを取り出して、リードをつけずに運指のトレーニングをしていました。

石川さんはスコアを取り出して、内容をしっかりと勉強しています。米津さんは初めての船旅にちょっと疲れが出た様子。緊張もあるからでしょう、横になって休んでいます。私とエージェントは先々の打ち合わせをしていました。

2時間20分の船旅を終え、下甑島の長浜に上陸。東京を朝8時過ぎに出て、下甑島に到着したのは夜7時過ぎですので、11時間以上を掛けてはるばるやってきたことになります。

外はすでに真っ暗。船を下りたのはほとんどが島民のようです。港を足早に離れ、家路を急いでいました。私たちは2台のタクシーに分乗し、別の集落へと向かいました。来年になればトンネルが開通して10分足らずでアクセスできるようになるそうですが、現在は山道を超え、30分ほどのドライブでした。

タクシーの運転手に聞いたところだと、下甑島にはタクシーは3台しかないそうです。そして運転手はひとりしかいないのだとか。それでは車が余ってしまいますし、需要が重なった時には困ってしまいますね。そこで、予約が入った時に限り呼び出される登録ドライバーがいて、今日の運転手もそのひとりなのだそうです。とても気さくで感じのいいおじさんでした。

宿に着いて、早速部屋割です。洋室が4室に和室が2室用意されています。波多江さんと石川さんは洋室を希望していましたが、和室だけが海側らしいと聞くと、和室がいいと宗旨替え。「でも、神田さんは?」と気遣ってくれましたが、私は洋室の方が便利なので、ふたりに和室を使ってもらうことになりました。

部屋に荷物を置いたらすぐに食事です。宿の都合もあり、なるべく早く食べてしまう方がいいようです。一同でテーブルを囲むと、なんだか合宿のような気分になります。

早速、波多江さんたちは「どこに飲みに行く?」と、ナイトライフに気持ちが飛んでいます。そんな調子で翌日の演奏は大丈夫なのか?と、最初のうちは気になりましたが、彼らは決して演奏に不足を残しません。そこはプロとして見事です。というわけで、今日も存分に楽しんでおいでと見送りました。しかし、「ほどほどに」と付け加えましたけどね。

さあ、長い旅はまだ始まったばかり。明日からまた絶妙なアンサンブルをお届していきます。