フレンチレストラン ヴァンサン 六本木

友人と久しぶりにメールを交わしたのは、一ノ関から戻る新幹線の中でした。互いにそろそろ膝を交えてじっくり話をしたいと感じている頃合いですが、先方も大変忙しくしているので、会いたいと思ってもなかなかタイミングが合いません。

でも、この時ばかりは運が味方しました。友人から都合を付けられる日として知らされたのは、ちょうど約束がキャンセルとなり、空き時間が出来たばかりの日でした。

その約束の日が今日。待ち合わせは六本木で19時30分。場所は前回と同じフレンチレストラン「ヴァンサン」。4月24日以来の再訪です。

今日も友人がホスト役を務め、料理やワインのチョイスも一手に引き受けてくれました。普段なら、ホスト役を人に委ねるのは気が進みませんが、この友人ならばセンスがあるので安心です。

今夜ばかりは友人に甘え、難しい気遣いなしに、心置きなく楽ませてもらうことにしました。

前菜1皿目は、たまごの殻に入った黒トリュフ入りのスクランブルエッグ。山口県産のウニが蓋になっています。

前菜2皿目は、蟹と野菜のミルフィーユ仕立て、クレソンのソース。

この皿で最も印象深かったのは、奥にあるカラスミです。ふつうは味が濃くてしょっぱいのでご飯やお酒が欲しくなりますが、こちらはあえて「半熟」で。なかなか入手困難という極上の酒粕で漬けることで醸し出される独特の風味が素晴らしい一品でした。

続いてお待ちかねのコンソメロワイヤル。

今日は鴨肉がかくれんぼしていて、秋らしい味わいに。シェフは「鴨南蛮」なんて冗談を飛ばして笑わせてくれますが、この風味豊かなコンソメはまさに「本物」。笑いごとではなく、素晴らしい味です。

魚料理はオマール海老。白魚と蟹肉のグラタンが載っていました。やはりここでもソースの存在感が見事。一滴残さずすすりたい気分でした。

メインディッシュは選りすぐりの鴨。

丁寧に手剥きされた栗のタルトや、今年豊作の松茸がたっぷり添えられています。鴨肉とフォアグラを交互にサンドイッチしてあり、ワイルドながらも繊細な味が口いっぱいに広がります。

デセールは洋梨のコンポート。ピスターシュのグラスを添えて。

蜂蜜とボルドーワインで丁寧に煮たという洋梨は、とろけるような舌触り。とても甘いのに、くどくないのがステキです。

料理のパートナーは冒頭の写真で紹介した、とっておきのブルゴーニュワイン。Domaine Mongeard Mugnuret の Echezeaux Vieille Vignes 1995でした。

友人も私も、城シェフもメートルドテルも、みんなゴキゲンでハッピーなディナーとなりました。とりわけ私にとっては、クリスマスと誕生日を一気に先取りしたような、心温まるひとときでした。