ジランドール at パークハイアット東京

とめどなく続く編曲作業の合い間を縫って、夕食のため向かったのはパークハイアットの「ジランドール」。アスパラの季節以来、3か月ぶりの再訪です。

まだ夕日が黄金色に輝き、東京のスカイラインと遠く富士山のシルエットが見事なハーモニーを奏でる時刻、パークハイアットのロビーは週末ながら混雑もなく、ラグジュアリーホテルらしい雰囲気が漂っていました。

午後6時。夕食には少し早いのですが、この後も作業が待ち構えていますし、昼食をとる時間がなかったので、待ちきれないというのが本音です。

店先に立つレセプショニストに案内されたのは、窓際に近いボックスシート。スタッフの中ではこのコーナーが比較的落ち着く席と解釈されているらしく、静かな環境を好む私に気遣って、よくここを用意してくれます。

実際、中央のホール席に比べるとよりプライベート感があるといえなくもないのですが、この条件が崩れるのは、他のボックス席に賑やかな客が座った時です。この席で大きな声を発すると、ホール席よりもむしろ響くので、とたんに騒々しくて落ち着かない席になってしまいます。

今回がまさにそのような状況でした。店はガラガラ。週末なのにどうしたことかと心配になるほどです。開業当時はいつでもパリのカフェのように賑わっていたのに。まあ、それはさておき、今日は3割程度しか席が埋まっていないのに、私の周囲は赤ちゃん連れで包囲されてしまいました。

しかも、赤ちゃん連れがいるのは、私の周囲のみ。他のセクションは大人しかいません。

それにしても赤ちゃん連れと一口にいっても、実にさまざまなのですね。周囲に気遣って、子どもがぐずる度に、抱きかかえて席を立つママ。せっかくの食事がこれでは落ち着かないだろうにと、何か助けてあげたくなります。かと思えば、席の周囲で子どもがウロチョロしても、構わず食事を進めている家族もいました。

いずれにせよ、赤ちゃん連れであっても、心地よく食事をしたい気持ちは同じはず。そこで活躍するのが店のスタッフです。静けさを好むとわかりきっている客と、赤ちゃん連れやグループ客は、「まぜるな危険」と相場は決まっています。席の割り振りに十分配慮し、いずれの客も互いを気にせず過ごせるように知恵を絞ってほしいものです。

さて、今日はサマーシーズンのプロモーションコース(8月29日まで)を注文しました。フランス語で「紙包み焼き」を意味する〝パピヨット”をメインディッシュにした5品のコースが、11,000円。メインのパピヨットは4種類からチョイスでき、私はオリエンタルテイストのユニークな品を選びました。

赤ピーマンのムースと茄子のコンポート フェンネルとトマトのヴィネグレット

トウモロコシの冷製スープ

香ばしくグリルしたトウモロコシ粒がアクセント

仔牛脛肉とマッシュルームのラヴィオリ 蚕豆のソースとハーブエッセンス

ちょっとトルコ料理を思い出す味

桃のグラニテ

車海老と焼きリゾットの紙包み焼き トムヤムクン風ソース

野菜たっぷりでヘルシーな印象

パイナップルのキャラメリゼ ヨーグルトとローズウォーターのアイスクリーム

ローズウォーターの香りがふわっと広がり、パイナップルの酸味が際立つ

ポーションは小ぶりで、男性には少しもの足りないかもしれません。食後にはコーヒーを。1時間半ほどで店を後にしましたが、やはり賑わいには程遠く、なんだか寂しい気分でした。この店には洗練された賑わいがよく似合います。そんな空気に満ちていた頃が懐かしいです。