幻想行進曲「幕末」

明日のコンサートを控え、今日は香川で過ごしています。
天気にも恵まれ、さわやかな気候の中、心地よいコンサートをお届けできそうな気分です。

そんな中、一冊の楽譜が届きました。
作曲家・石田匡志先生が私とエレクトーンのために書き下ろして下さった、幻想行進曲「幕末」です。

石田先生とは、昨年秋のイベントで知り合いました。
薩摩川内市が主催する「秋の夕べ」という野外コンサートで、石田先生が作曲した「天璋院嘆願図」というミニオペラを演奏したのがきっかけでした。

その「天璋院嘆願図」は、石田先生がオーケストラをイメージして書いた作品ですが、私が渡された楽譜はピアノ伴奏用のものでした。

石田先生の作風は、複雑な和声とドラマチックな展開が魅力的です。
でも、楽譜は臨時記号のオンパレードで、ぱっと見てすぐに音をつかめる感じではありません。

準備時間が限られている中、私は必死で音楽の精神性を読み取り、そこから感じるがままに自然なオーケストレーションを心がけました。

もっと苦労するかと思ったのですが、独特の響きに魅了されつつ、案外スムーズにイメージをまとめることができ、作品に力さえあれば、さほど思い悩む必要はないということがよくわかりました。

リハーサル時には石田先生も同席なさいましたが、「イメージが違う」と叱られるのではないかと気が気でありませんでした。
ところが先生は「イメージした通り、あるいはそれ以上の仕上がりになり、大満足」とおっしゃったのです。

この時、作曲家と演奏家として、互いに認め合うものが生まれました。

そこで、私は石田先生に、エレクトーンで演奏することを想定した新作を書きおろしてほしいと依頼しました。

今後エレクトーンの地位向上には、作曲家がすすんでエレクトーンのための作品を書いてくれるようになることが必須です。

エレクトーンの世界では自作自演がよしとされています。
それはそれで素晴らしいことですが、人が書いたものだからこそ、より深い責任感とともに演奏できるという考えもありますし、複数のプロフェッショナルの手を介した芸術には、一層の深みが備わります。
そうした観点からも、作曲家に作品を委嘱することは重要だと考えています。

その記念すべき第1段として、今日、作品が届いたというわけです。
早速楽譜を開いてみました。

作風については一切のリクエストをしていません。
石田先生なりに、私という演奏家、そしてエレクトーンという楽器をイメージして書いていただきました。
「幕末」というテーマからは、「天璋院嘆願図」の続編的なつながりを感じますし、幻想行進曲というスタイルには、日本が新しい時代に歩み出す変化の兆しとともに、打楽器を多用したエレクトーンらしい演奏スタイルにかなうようにとの思いが見受けられます。

ちょっとピアノで弾いてみた感じでは、とても石田先生的です。
「こう行くだろう」と思わせておいて、意外なところに向かうので、かなりトリッキーですが、同時に人間くささも満載で、エモーショナルに燃えて弾ける部分もたくさんありそうです。

この作品、たぶん初演は秋。それまで、大切にあたため、満を持して発表させていただきます。どうかご期待下さい。