阿久根小学校へ行ってきました

昨晩から急に風が強くなり、宿の窓に打ち付ける雨と風に胸騒ぎを呼び起こされ、ほとんど眠れぬ夜を過ごしました。朝、海には白波が立ち、鳥たちも風に向かって必死に飛んでいます。

今日は阿久根小学校での演奏会。136年の歴史がある、阿久根でも古い学校です。急な坂を上がると校舎が見え、体育館はその裏側にありました。

九州の演奏会では、DENKENさんが楽器運搬、セッティング、音響などを担当してくれます。舞台には立ちませんが、彼も大切なチームの一員。今日も無駄のない作業で、体育館を演奏会場へと変身させました。

楽屋は体育館のステージ上。カーテンが閉まっているので、控室としてちょうどいい空間です。学校が用意してくれたミネラルウォーターやお茶の他、私が羽田空港で調達したコーヒーハンターのドリップコーヒーも。毎日一緒に美味しいコーヒーを味わってからステージに向かいます。

そのかたわらでは、波多江さんが譜面のおさらいを。今回初めて参加してもらう曲がふたつあるのですが、合わせる前に念入りなチェックをしていました。

時間通りに演奏会が始まりました。こうして3人でアンサンブルするのは1年ぶりです。3月には石川昇平さんのパーカッションを加えたカルテットがありましたが、トリオだとまた感覚が違いますので、最初は3人とも身構えた感じだったかもしれません。

でも、演奏が始まって体育館に音楽が響き渡ると、いつしか気持ちがまとまり、ブランクなんてなかったかのようにぴったりと息が合います。

そんな中、やはり一番苦労したのは米津さんだと思います。私も波多江さんも使い慣れた楽器を演奏できますが、米津さんはその日に初対面のピアノを弾かなければなりません。

しかも、多くのピアノは古く、お世辞にもコンディションがいいとはいえず、そうした状況でリストやラフマニノフの大曲を演奏するのは、身を削り続けるようなものです。

今日のピアノは、丁寧に調律をしてくれてあったものの、50年前の品物。最良のピアノから聞こえる音色を知ってしまっていると、どうしたってもの足りないのですが、よくぞ終演まで鳴り続けてくれたものだと考えると、とてもスペシャルなことに思えます。

阿久根小学校の子どもたちは、最初は溌溂と元気に入場してきましたが、演奏が始まると熱心に聞き入ってくれて、おかげでとても気持ちよく演奏することができました。終演後は阿久根から霧島へ移動。明日は小学校と中学校の2校を廻ります。