源氏 at ヒルトン大阪

久しぶりのグルメレポートは、滞在中のヒルトン大阪より、日本料理「源氏」をお届けします。

友人とランチの約束をしたのはだいぶ前のことですが、何を食べたいのかは聞いていなかったので、予約をせずに当日を迎えました。

日曜日ですからガラガラということはないでしょうし、場合によっては満席になることは予測していました。

落ち合った友人に希望を聞くと「鉄板焼」とのこと。直接店に予約するのではなく、フロントから頼れるデューティーマネジャー経由で空き状況を聞いてもらいます。その方が、単純に予約するよりも、丁寧なサービスを受けることができますし、よい席を用意してくれるかもしれません。

鉄板焼カウンターは満席の様子。電話口の会話から、天ぷらカウンターと寿司カウンター、会席テーブルには空きがあるようです。

受話器を押さえながら、今一度、状況を私に説明してくれるマネジャーに、ならば天ぷらカウンターを予約してくれるようにと頼みました。

すると、「あ、たった今埋まった・・・はぁ・・・」と受話器片手に困り果てるマネジャー。そんな勢いで席が埋まるなんて、まるで人気アイドルのコンサートですね。

中国料理「王朝」の空きも聞いてもらいましたが、一杯。満席ならば仕方がありません。商売繁盛、大いに結構です。

席が空くまで待つという手もありますが、友人にはフライトというタイムリミットがあるため、そうのんびりもしていられないので、会席テーブルに落ち着くことにしました。

店先では和服を着たサンタクロースと、スラリとしたマネジャーが出迎えました。すんなりと席に案内されてからは、和服姿の落ち着いた女性がサービスを担当しました。

店内は元来の数寄屋造りを基本に、部分的にリニューアルされており、窓に面したホール席は、ライトな色調のモダンなインテリアです。十分に高級感があるのですが、BGMは近所のスーパーマーケットみたいな、陽気でダサい音楽。誰も違和感を持たないのでしょうか。不思議です。

メニューは、3千円台の手ごろなものから、2万円以上の本格会席まで、バラエティ豊かに揃っていますが、なかなかコレという決め手がないので、迷ってしまいます。

予算で選ぶなら話がはやいと思いますが、何を食べたいかで考えると、5倍以上も違う料金の差が、どれほど見合ったものなのかを吟味したくなってしまいます。質が値段に比例していると信じるしかありません。

でも、私は選ぶのを諦め、友人のチョイスに任せることにしました。

すると、寿司会席「葵」14,000円が選ばれました。ならば、寿司カウンターにすればよかったかとも思いましたが、テーブルでゆっくりと味わうのも、たまにはいいでしょう。

先付:山葵菜と氷魚 ラディッシュ 旨出し

造り:鯛 鮪 烏賊

焚合せ:鰤大根旨煮 富貴 針柚子

箸休め:ラズベリーシャーベット

焼物:銀たら西京漬 酢蓮根 金柑蜜煮

寿司

吸物:蟹しん薯 生麩 大根 人参 青身 柚子

季節のフルーツ

(フルーツの旬っていったい何?と考えさせられる・・・)

料理は、一品ごとに丁寧に仕上げられ、それぞれの魚を最も美味しい調理法で出してくれたという印象でした。

サービスも、大阪というより京都にいるような感覚にさせてくれました。混雑してるのに、食事中はそれを感じさせない落ち着きがあって、とても快適でした。

それにしても、ロビーの混雑ぶりは尋常ではありません。まるでデパチカのようです。クリスマストレインをはじめ、クリスマスディスプレイ一色に染まったロビーには、こうした賑わいがよく似合いますが、それにしても凄まじい。

その後、夕方にはロビー階にあるラウンジ「インプレイス」で人と会う約束がありましたが、無理を言って予約をしておかなければ、長いこと待たなければならなかったでしょう。

店内が落ち着かないのは仕方がありません。もうホテルラウンジの雰囲気は崩壊し、雑然としています。

マネジャーが勧めるアフタヌーンティーを注文しましたが、これがまた、私の思うアフタヌーンティーとはかなり違っていました。

三段のトレーに、フィンガーサンドイッチやスコーン、ペイストリーが載ってくるまではイメージと大差ありませんが、取り皿は出さないし、小さな紙ナプキンしか添えないし、紅茶に至っては、ティーバッグでいれた冷えて苦いイングリッシュブレックファストストだなんて、ちょっとムカッときます。

刺繍の入ったリネンや手入れの行き届いた銀器を用意しろとまでは言いませんが、せめてそれなりの雰囲気を演出して欲しいものです。

係に「紅茶が最初から冷めていたので、お取り替えしてくれる?」と耳打ちしましたが、なんと、彼女が差し替えたのは、私のポットだけ。

私は自分のものなんて、どうでもいいのです。実際、さして美味しそうでもない三段トレーの食べものにはほとんど手を付けていません。まったく手を付けなければ、同席した人が食べにくいと思って、ひとつふたつつまんだだけのことです。

紅茶のことも、同席の他の人のものを替えて欲しくて頼みました。自分のことだったら「お取り替え」なんて言いません。

こんなお粗末なサービスでひとり2,800円。上海のペニンシュラでアフタヌーンティーをした時は、結構いい値段だなと思いましたが、サービスといい雰囲気といい、これに比べたら10倍以上の価値がありました。やはり、ヒルトンとアフタヌーンティーはマッチしないのでしょうか。

館内のクリスマスデコレーションには、夢と楽しさがあふれており、たいへん好感を持っていますが、こうしたひどい食べ物を出されると、装飾に掛ける金があるなら、まともな食材を使ってくれと、せっかくの装飾にも水を差すことになります。