えらぶ百合の花を聞きながら

今日、私のアトリエでは珍しく音楽を流しています。それは「えらぶ百合の花」と「サイサイ節」。どちらも沖永良部島で親しまれている民謡で、素朴な旋律と穏やかなリズムが織りなす響きは、都会にいることを忘れさせてくれ、目を閉じれば沖永良部島の荒海が浮かんできます。

今年も鹿児島県巡回コンサートの最終日に沖永良部島へ渡ることになりました。たった一晩ですが、島の皆さんの人情に触れる機会が持てることを楽しみにしています。

今回のコンサートでは、島の皆さんとより親しめるようにと、演奏曲のリクエストをしてもらうことに。その結果、ダントツ人気で決まったのがこの2曲だそうです。

私たちにとっては初めて耳にする曲なので、今こうして予習をしながら、イメージを膨らませているというわけですが、果たしてうまく演奏できるか心配です。

こうした土地の音楽というのは、やはり土地以外の人間が演奏すると、何か根本的なところが違うというか、どうにも真似のできない部分が立ちはだかります。もうこれは、血というしかないかもしれません。

私が中国の演奏家たちとスムーズにアンサンブルできるのも、10年以上積み重ねた経験があればこそ。この民謡をしっくりと聞いてもらえるには、最低10年は待ってもらいたいのですが、そうもいきませんね。

今回は、島の皆さんにも歌ったり踊ったりしてもらいながら、一緒に楽しめたらいいなと思っています。

それにしても、音楽ひとつで空気がこれほど変わるとは、今更ながらに驚き。私のアトリエではないみたいな雰囲気です。三線の乾いた響きと、こぶしのきいた歌い回し。それを聞きながら、喜怒哀楽のファイブスターホテルレビューを書いていたのですが、そのギャップがなんとも面白く感じられました。