ウィーンの調べと味覚

ラ・パレットでのプレミアサロンコンサートは、おかげさまで盛況のうちに終了しました。
昼の部、夜の部ともに満席のお客様に囲まれ、伊藤さんも私も、大変気持ちよく演奏させていただきました。

サロンコンサートの醍醐味は、なんといっても、お客様と演奏者がまさにふれあうほどの近さで、同じ空間を共有している実感を持ちながら過ごせることです。

ラ・パレットのキャパシティは40名様程度ですので、プライベート感が十分にありながらも、おおいに盛り上がれるほどよい規模。

演奏しながらもお客様の呼吸や反応が直接伝わってくるので、この環境に慣れないうちはとても演奏しにくいのですが、逆に慣れてくるとホールコンサートにはない独特の楽しみが生まれます。

お客様にとっても、普段はなかなかダイレクトには感じられない演奏者の細かい動きや表情までが手に取るようですので、このシリーズを毎回楽しみにして下さっているお客様が増えてきました。

今回は「ウィーン」をテーマに、オーストリアの文化と魅力を、少しでもお客様にお伝えできるよう、レストランも演奏者も精一杯工夫を凝らしました。

ウィーンを再現するといっても、演奏家もレストランスタッフもみな日本人ですし、このような明確なテーマをかかげてのサロンコンサートは初めてでしたので、終えてみるまではどんな雰囲気になるのか不安でしたが、実際に体験してみて、私たちも想像以上に楽しく感じました。

お客様の中には、ドイツ人やオーストリア人もいらっしゃいましたので、もしかしたら日本人の奏でるウィンナワルツには違和感があったかもしれませんが、せめて今日の演奏に込めたオーストリアの文化に対する敬意や憧れは、感じとってもらえたように思います。

それにしても、今日のお客様は皆さん「楽しみ上手」でした。むしろ私たちの方がのせられてしまった感じです。
そして、ウィーンゆかりの音楽は、みなエレガントで心が弾みます。お客様も知らず知らずのうちにウキウキモードになり、心が軽やかになったことでしょう。

アンコールのラデツキー行進曲のときは、皆さんで盛大な手拍子をしていただき、会場がひとつになった実感がありました。

伊藤さんとは「ようこそ先輩!コンサート」で、ついこのあいだ共演したばかり。息もぴったりです。
でも、オペレッタ、日本歌曲、オペラアリアなど、多岐にわたるプログラムを1回につき8曲、それを2回ですから、かなりハードだっと思いますが、一日楽しかったと言ってくれました。

コンサート後、お客様をお見送りしてから、スタッフの皆さんもまじえておしゃべりタイム。ディナーのサプライズギフトとしてご提供いただいたオーストリアのスパークリングワイン「ホワイトセコ」で伊藤さんと乾杯し、お客様から差し入れのあった手作りロールキャベツで遅めのディナーを楽しみました。

4日間も手間暇かけてこしらえて下さったロールキャベツは、実に濃厚なデミグラスソースと、柔らかいけれど崩れていない3重のキャベツやお肉とのハーモニーに愛情を感じながら美味しく頂きました。

気がつけばもう零時半。弟子に車で送ってもらって帰って来たところです。今日もエネルギーはたっぷり消耗しましたが、マラソンのあとのような爽快感です。

ご来場下さった皆様、お花や贈り物をお届け下さった皆様、そして遠方より応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。