白熱電球へのレクイエム

先日、東芝ライデックが一般白熱電球の生産を中止したニュースが全国を駆け巡りました。
生産中止が決まったことは2年ほど前に耳にしていましたが、いざこの日を迎えると、私は自らの将来に大きな不安を感じずにはいられませんでした。
なぜかというと・・・

私はどういうわけか蛍光灯が苦手です。
1本、2本ならまだ我慢できますが、これでもかと並んでいるコンビニには、足を踏み入れることすらできません。

私の眼そのものが強い光に弱く、夜間でも淡い照明を好んでるので、私の人生には白熱電球が欠かせません。

白熱電球と一口に言っても実にさまざまで、いわゆる「裸電球」と呼ばれるものを筆頭に、クリプトン電球、ハロゲン電球などのガス注入型や、用途に応じた多彩な形状があるようです。

今回、生産中止になったのはこのうち「裸電球」の仲間で、多くの白熱電球はこれまで通り供給されるとのこと。とりあえず、私の人生は崩壊を免れました。

めったに帰れない私の自宅ですが、照明器具はただひとつの例外もなく白熱灯を使っていて、そのうち多くはハロゲン灯です。0から100までシームレスで調光可能で、シーンに応じた光の演出ができるところが気に入っています。

近頃は、電球型蛍光灯や、話題のLED電球など、エコを意識した電球が増えてきました。世間では値段のことばかり取りざたされていますが、光の質の違いについては、さほど意識されていないように感じます。

電球型蛍光灯に取り換えた屋形船を利用した客のほとんどは、情緒やぬくもりに欠けると感じるそうですが、これに示されるように、いくら白熱色に似せても、そこに宿る光の質はまったく違います。

ある研究によれば、クリエイティブな仕事は、白熱電灯の環境で行う方がよいという結果が出ているそうです。

確かに消費電力という点では、劣等生の白熱電球。このエコが叫ばれる時代には、さぞや肩身が狭いことでしょう。

でも、誰も通らない道に点る街灯や信号、照明を点灯したまま通過する回送列車などの他にも「これってエコ的でないよな」と思う灯りはたくさんあります。

私の努力など微々たるものですが、それでもこまめに消灯したり、エアコンを控えめにしたり、生活の質を落とすことのないレベルで、思いつく限りの資源節約に努めています。

今年に入ってペットボトルの飲料は1本も購入していませんし、買い物の際には、贈り物でない限り、包装は辞退します。

そんな小さな努力ですが、それでも驚くほどゴミが減って、効果を実感できました。

これからも楽しみながら資源節約に努めて行こうと思いますが、やっぱり白熱電球は手放せません。もし、白熱灯が全面使用禁止になるようなことがあれば、私は蝋燭の光で生きるか、日の出とともに目覚め日暮れとともに休む生活になるかのいずれかです。

独特のぬくもりときらめきには、決して他の新型電球では醸し出せないものがあります。
我が国のお偉いさんたちは「明るさ」だけで蛍光灯とLEDを代役に充てたようですが、白熱灯には文化を育む力が潜んでいることをお忘れなきよう、願ってやみません。