粥が上海蟹に化ける

晴天の水曜日、次のリサイタルにゲストとしてお招きするサイ・イエングアンさんとお会いするため、上野へ出掛けました。

西郷さんの像は青空に映え、その先には目を見張るほどの行列。何かと思えば、怖い絵の展覧会の入場を待つ人々だとか。最後尾の札には130分待ちとあり、怖いもの見たさとは好奇心の最たるものと感じ入りました。

私の演奏会なら空いてますよ。展覧会の絵などいかがでしょう。怖ーく弾きますよ。そう言ってチラシを配り歩きたいくらいでした。

さて、約束の店に行くと、すでにサイさんは着いて待っていました。私も常に少し早めを心掛けていますが、サイさんも人の時間を無駄にしない人です。

今回は、サイさんの他に、サイさんの熱烈なファンでもあり、プライベートでも親交の深いおふたりがご一緒でした。いつもお話しには聞いていたので、やっとお会いできて嬉しかったです。

ただ、サイさんとふたりだと思い込んでいた私はかなりの軽装で来てしまい、ちょっと反省。ごめんね、サイさん。

お店は西郷さんのすぐ脇にある「旦妃楼飯店」。入り口には上野のシンボルであり、中国の永遠のアイドルでもあるパンダがお出迎え。2階にはホール席と個室、地階にはボールルームを持つ大きな中国料理店です。

2階へ上がると明るい個室へ案内されました。上海の洋館を思わせる内装に、きちんとセッティングされたテーブル。やはり着替えて出直したいところですが、手遅れです。お粥でも食べようかと思っていたのですが、料理長手書きの献立には、大好きな上海料理がたくさん並んでいます。

 

「カンダさん、紹興酒、だいじょぶね。」とサイさん。「あぁ、はぁ」とためらう次の瞬間には乾杯していました。

そして運ばれてきた前菜各種。どれも本場上海と変わらない味。味覚は記憶を呼び起こし、懐かしさが心に響いてきます。

上海蟹が出てきた頃には皆さんお腹いっぱいと、お持ち帰りをリクエストしていましたが、私は足の先までほじってきれいさっぱり食べ切りました。

病み上がりには重いかなと心配もしましたが、むしろ良質な栄養で満たされ、元気になれたように思います。

もちろん、食べてばかりではありません。リサイタルの打ち合わせも進みました。サイさんに歌っていただく曲目も、だいぶ固まりました。愛をテーマに、美しく心に響く曲ばかりです。そして、サイさんのために作詞作曲された作品もお届けします。

リサイタルのチケットはまだ多数ございます。発売開始直後には多くのお申し込みをいただきましたが、今は落ち着いている感じです。

まだ来年のこととのんびり構えていましたが、もう2か月切っているんですね。ぜひ最強コラボを聞きに東京文化会館へお集まりください。お申し込みお待ちしております。