真夜中の水族館

5月5日の深夜に開催された品川プリンスホテル マクセルアクアパークでの演奏会では、これまでにない経験をさせていただき、またひとつ大切な思い出が増えました。

イベントにご参加くださったのは、この日限りの宿泊プランと、ディナーパッケージプランをお申込みになったお客様。通常営業時間内はかなりの賑わいを見せる水族館を、130名様だけで貸し切り、幻想的な雰囲気と独特の静けさの中で、海の生き物たちを眺められるという特別な一夜です。

一般営業が終了するのは22時。そしてイベントのお客様は22時30分から入館開始。つまり、セッティングやリハーサルに許された時間はわずか30分です。

私も通常営業時間に下見を兼ねて何度か行ってみましたが、ファミリーや外国人にも大人気で、テーマパーク的な高揚感がありますし、大水槽を貫くトンネル「ワンダーチューブ」は特に人気で、いつも多くの人が集まっていました。

22時になり、エレクトーンを搬入。同時に、エンジニアは簡易照明と音響配線を進め、ホテルスタッフは客席を運び込み、みるみるうちにコンサート会場が出来上がりました。

当初はスピーカーをスタンドで上げて、後方まで音が広がりやすくしようと考えていましたが、せっかくの大水槽の視界を、スピーカーで遮るのはダメだと思い、床置きに変更。照明は、魚たちが主役となるようセットしてくれ、いい感じです。手元が暗いといえば暗いですが、プラネタリウムでの演奏会を思えば日向も同然です。

お客様の入館までには余裕でセッティングが終わったので、しばらく客席に座って雰囲気を味わってみました。誰もいない水族館が、これほどまでに美しいとは。イスに座って頭上を泳ぐ海の生き物たちを眺めていたら、いつしか深い安らぎに包まれていました。

演奏は予定通り23時30分からスタート。エレクトーンの音がチューブ内に鳴り響くと、生き物たちの動きに変化が感じられたのは、気のせいではないと思います。いつもなら安息の時間であるはずなのに、ずいぶんとお騒がせしてしまったかもしれませんね。

音楽ありきのコンサートであれば、お客様の意識を音楽に集中してもらうように演奏していきますが、今回はこの特別な場所とのコラボレーションが軸ですので、音楽と雰囲気との調和を図りました。それでいて、しっかりと音楽を生演奏で満喫したという実感を持っていただけるよう、存在感の大きな作品を演奏しました。目の前を巨大なエイやサメが急に横切った時にはびっくりしますが、海の底から空を眺めるような神秘的な場所で演奏できて、とても気分がよかったです。

水族館は午前1時クローズ。演奏終了後も、残り時間を館内のあちらこちらでのんびりと過ごしたり、人のいない環境でパートナーの写真を撮ったりしている風景もまた美しく感じられました。

それにしても、品川プリンスホテルの快進撃には、驚かされます。立地はいいけど、泊まるために泊まるという感じのホテルではないと多くの人が思っています。規模が大きすぎて、落ち着かないと感じる人もいるでしょう。私もそう思っていました。実際、そうであった頃のイメージが払拭されていないのです。

でも、今の品川プリンスの本気度はすごいです。最上階のレストランがリニューアルされたのは知っていましたが、ただキレイになっただけで、中身は変わってないだろうと勝手に思っていました。ところが、今回初めて夕食で利用してみてびっくり。外資系のスーパーラグジュアリーホテルですか?って感じの雰囲気と、きちんとしたファインダイニングの味とサービスでした。

他に類を見ないファシリティを多数持っていて、豪華客船の旅を地上で満喫する的な滞在が楽しめるホテルに進化している品川プリンス。次はどんな企画を持ち掛けてくるか、ワクワクが止まりません。

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