しそうカンタービレ

この10月に出演した演奏会はわずか11回でしたが、演奏した作品それぞれに深い思い入れを注ぎ、聞いてくださった方々と多くのことを分かち合える、どれもが特別なひとときでした。

その締めくくりとなったのが27日の宍粟市「秋の第九」演奏会です。エレクトーン独奏のみの演奏会で3年、第九を加えて3年、合わせて6年連続で私を招いてくれている宍粟。すでに来年の公演日も決まり、宍粟との縁は深まるばかり。「いっそ住んだったらええのにな」と言われております。

演奏会前半は、そんな宍粟への思いを込めて、豊かな自然や季節感とマッチするクラシック作品をセレクト。穏やかな朝、厳しい冬、満開の桜、夏の躍動、そして宍粟の皆さんも私も大好きなモルダウなどを、宍粟が持つ土地の脈動を感じつつ、のびのびと演奏しました。

第1部の最後は歌手たち5人とアンサンブル。肉声が生み出す豊かなハーモニーに会場はおおいに沸きました。ここまで70分ノンストップ。結構な消耗ですが、気分だけは爽快です。

急いで着替えて、トイレに行きたいけど時間がないので我慢して、第2部の第九第4楽章。ありったけの集中力をかき集めつつも、ゆとりあるおおらかな演奏を意識しました。合唱からは輝かしい生命力が感じられ、年々磨きが掛かって来ていることを誇らしく思います。

そして終演後は皆さんとともに交流会。祝いの餅つきでは、皆さんへの思いを込めて私も精一杯杵を振り下ろしました。つきたての餅はほんのり温かく、なんとも言えない柔らかさの中に、心地よい弾力があります。今日の第九もこんな感触だったなと、駆け足の一日を、のんびりしみじみ振り返りました。

来年の宍粟は、8月23日。姫路、宇部に続き、市民合唱と一緒に創るミュージカルコンサートです。ご期待ください。

Unforgettable Daiku(Beethoven:symphony No.9) concert in rural town Shiso and Mochi pounding experience after performance.