佐久平で感じる秋

10月19日は長野県佐久市にてミュージカルナンバーをメインにしたコンサートがありました。

主催の佐久コンサート協会は、長い歴史を持つ音楽鑑賞団体で、会員が出演者を決め運営を行っています。話題の大物アーティストから期待のニューフェイスまで、幅広い顔ぶれが揃う歴代出演者の中に、私たちも加えていただけたことをたいへん光栄に思います。

佐久は都心から日帰り圏内なので、朝の新幹線で向かいました。佐久平の駅に降り立つと、ひんやりとした空気が頬をかすめます。

すっかり色づいた街路樹を眺めながら歩くこと数分で会場に到着。入口前ではこの日の運営サークルの皆さんが揃って歓迎してくれ、この温かい雰囲気に心が和み、それ以降のすべてが気持ちよくスムーズに進みました。

一息ついてすぐにリハーサル。照明も音響も、会場入りから1時間余りでセッティングを完了させてくれています。

いつもはエレクトーンの音を舞台奥から発するよう、スピーカーを奥に設置しますが、今回はフルPAが入っており、ステージフロントのメインスピーカーとステージサイドのモニターというセッティング。

ポピュラー音楽では当たり前ですが、クラシックメインの私には珍しい環境なので、音質や音量感の違いに戸惑いましたが、演奏に集中していたらすぐに慣れました。

リハーサルが一通り済んで、ほどなく開場時間に。ホワイエに人が集まり活気が満ちてくる様子が舞台裏にも伝わり、いよいよ本番間近と気持ちが盛り上がります。

第1部はエレクトーンソロ。PA環境ということもあり、管弦楽曲ではなく、エレクトーンらしさを盛り込んだアレンジ曲を中心に演奏しました。

第2部からは松本昌子と畠山典之を迎え、ミュージカルナンバーをたっぷりと。ふたりとも私のエレクトーンとの共演にすっかり慣れて、絶妙な呼吸感でアンサンブルができるようになり、演奏時の手応えと楽しみが大きく増しました。

さすが会員の皆さまは聞き上手。単に聞いているというのではなく、一曲ごとに作品の中に入り込んで来て、その世界を楽しんでいらっしゃるんだと思います。客席とステージとの一体感が大きく、まさに共有したという実感がありました。

終演後に会員さまからいただいた言葉で、「いつもの会場にいるのに、今日はミュージカル劇場に来たような気分がした」というのが特に嬉しかったです。音楽で日常とは違う気分を味わっていただければ、ここのところの閉そく感も吹っ切れるかもしれませんね。

終演後は新幹線まで1時間あったので、駅の喫茶コーナーで信州のリンゴジュースを味わい、各自お土産さがしを。つかの間ながら、長野県の旅を満喫しました。