プレイ&トーク

10月15日は、延期になっていたフェニーチェ堺の文化講座オペラシリーズ「そろそろオペラ、どうですか?」が開催されました。

これには10月23日にフェニーチェ堺で上演される日生オペラ「ラ・ボエーム」を盛り上げるプレイベントの意味合いもあり、「名作のヒロインはなぜ儚い?」をテーマにオペラの魅力を掘り下げよとの司令を受けまして、ソプラノの平野雅世さんと共に歌とトークを織り交ぜたコンサート風の解説講座に仕立てました。

平野さんとのアンサンブルについては、CD収録やソプラノリサイタルでの共演を重ねて来ましたのでほとんど心配ありませんが、トークに関しては結構な準備が必要でした。歌手がメインの講座なので、歌手が主導権を持って進めるのが順当かもしれませんが、喋るのも仕切るのも好きでたまらないという歌手ならともかく、歌の負担を考えると出来るだけ頭を使わず歌に集中してもらう方がいいと思い、厚かましくも私に仕切り役を譲ってもらうことに。2人で譲り合って対等に話す方法もありますが、漫才コンビのような連携が備わっている場合を除き、どちらかがリードする方が無難なのです。

リハーサルは2度。1度目は大まかな流れを共有しながら、主に音楽稽古に時間を掛けました。平野さんも調子よく結構な分量を話してくれるのですが、実際のステージでは歌の熱量が圧倒的に増しますので、この調子で喋らせては歌唱に差し支えると判断し、要点を整理して受け答えを集約しました。

2度目のリハーサルは本番直前です。ここでやっと全体像やボリューム感が見えて来ましたが、何しろお互い初めての企画なので、これでよしという確信が得られません。あとは度胸あるのみです。

開演直前までトーク内容を吟味しながらも、大きな不安を感じていましたが、そんな顔をしていたら周りはもっと不安になりますので、涼しい顔を装います。時間になりステージに進むと、あら不思議、頭より口が勝手に動いて喋っているではありませんか。リハーサルで空席に向かって喋っている時と違い、満席のお客様に向かって話しかけていると、自然と言葉か突いて出てくるんですね。

迫真の歌唱と、オペラのお話。物語の秘話や演じる時の心情、音楽の役割、泣きどころなどなど、盛りだくさんにおおくりした文化講座。我ながらなかなかのお得感だったのではないかと思っております。久しぶりによい頭の運動にもなりました。

終演後は慌ただしく会場を後にし、次の目的地であります山口宇部へ。新山口駅で熱烈歓迎を受けまして、幸せ気分でホテルに到着。明日、明後日と米津真浩さんとのアンサンブルです。ご期待ください。