ホルンとフルートとエレクトーンと

9月15日はホルン奏者・田中大地さんのリサイタルが開催されました。ホルンとエレクトーンのデュオに始まり、ゲストフルート奏者の玉村三幸さんを迎えたトリオ、更に3本のホルンを加えたアンサンブルなど、さまざまな編成でホルンの名曲をお贈りするリサイタルでした。

ホルンとエレクトーンの組み合わせは、音楽学校の中などでは実施されているかもしれませんが、一般向けの公演としてはあまり例がないように思います。少なくとも田中大地さんにとっては初めての試みでしたので、本番までの道のりに於いてはさまざまな工夫と歩み寄りを重ねました。エレクトーンとの共演経験が豊富な玉村さんもまた、新しい響きを作り出す上で大きな役割を果たしてくれ、おおいに感謝しています。

管楽器の演奏会は、お客様も管楽器を嗜まれている方が多いようですが、東京労音主催の管楽器リサイタルシリーズは、さまざまな音楽を広く楽しまれているお客様の割合が大きく、楽器の専門的なディテールを掘り下げるというよりも、音楽そのものを広い視野で鑑賞なさっていると見受けられます。

そのことも頭に入れた上で、田中さんのファン層にもじゅうぶんご満足いただける選曲を熟考した田中さん。技巧で魅せる作品ではなく、音色の美しさやホルンらしさが優しく伝わる音楽を集めてくれました。初めてお聞きになる曲も多かったと思いますが、リラックスして楽しんでいただけたことでしょう。

私にとっては今年3回目の東京文化会館でした。これまで多くて3人での演奏でしたので、今回の6人でのアンサンブルがとても新鮮でした。お相手やお客様が違っても、馴染みのある会場が絶対の安心を与えてくれます。「今日はエレクトーンか、珍しいね」が、当たり前にちょっと近づいてきた感じ。アトムがチャンスを作ってくれて7年目。そしてアトムが去ってちょうど1年。いつも見守ってくれてありがとう。

ヘンデル/オンブラマイフ
F.シュトラウス/ノクターン
R.シュトラウス/アンダンテ
F.シュトラウス/ホルン協奏曲
ドップラー/リギの思い出
ドップラー/森の小鳥
ハチャトゥリアン/剣の舞(エレクトーン独奏)
フォーレ/シシリエンヌ(フルート・エレクトーン)
ヒューブラー/4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック
アンコール:ユーレイズミーアップ

出演者
田中大地/ホルン
神田将/エレクトーン
玉村三幸/フルート(ゲスト出演)
大槻香奈絵/ホルン
西本葵/ホルン
村橋郁香/ホルン