明日を夢見て道を拓く

5月12日のリサイタルまであと10日。演奏会にはひとつの例外もなく全力投球していますが、東京リサイタルはとりわけ思い入れが深く、ここで自分の人生を占っている感さえあります。

これまで一度も満足したことがなく、終わった夜にはもうやるまいと必ず思うのですが、また性懲りも無く戻ってきました。

エレクトーンにはエレクトーンの世界があって、その音楽を好む方たちが互いを認め合い育む環境が整っているのですが、私はデビューした時から外の舞台で弾き続けています。

そこでは電子楽器への偏見もあり、どちらを向いても否定され、悲観に暮れる日もありましたが、30年近くもやっていればそれなりに板に付くところも出てきて、こういうのもいいんじゃない?と言ってくれる方と出会えるようになりました。

まだまだ中途半端ではありますが、努力や可能性を認めていただけるのは、本当に嬉しく励みになります。それはものすごい音楽家の方に褒められようと、まだ音楽をよく知らない子どもに言われようと同じで、鼓舞されることが重要です。

明日を夢見て道を拓くその意欲を得るには、舞台に立つしかない。そんな思いで他に誰もいない舞台のど真ん中でエレクトーンを弾きます。これが唯一の機会だとしたら何をしたいか。初舞台から常に胸に置いているこの問いとともに。