宍粟の第九

兵庫県宍粟市とご縁ができて早いもので10年が経ちます。毎年欠かさず声を掛けてくださり、中にはまたかとうんざりの方もいらっしゃるかもしれませんが、ここまで来ればもうひとつの歴史ですので、厚かましくも躊躇なく往来しています。

10回のうち半分は第九を共にしている宍粟労音ですが、しばらくは第九を続けてひとつの風物詩を作ろうじゃないかと意気込んでおり、今年も4月から練習を重ね、いよいよ来週が本番の公演となりました。

洗練された第九、大規模な第九、上手な第九などなど、全国にはさまざまな第九がありますが、指揮者も立てず、エレクトーン一台のみという究極のミニマリズムの中、田園風景を象徴する飾らない人々が集い等身大の第九を歌う図は、非常に詩的でもあり、シンプルにして強烈なメッセージをはらんでいます。少しのぼせて言うならば、よそ様が逆立ちしてもできないことをやっているという自負もどこかにあります。

いつかは田んぼのど真ん中で第九をやりたいと企む私。それが実現するまでの道のりは長いかもしれませんが、そんな面白そうな目標があれば、少々きついことがあっても、笑って乗り越えられそうな気分になれます。

第1部はエレクトーン独奏で「展覧会の絵」などを60分のプログラムで。第2部は第九の第4楽章を合唱やソリストの皆さんとともに。すでに木々が色づき始めており、見頃には早いとしても、紅葉シーズンの開幕を感じる風景が楽しめそうです。お気軽に足をお運びください。