ロシアの響きとイタリアの味覚

来週予定されている米津真浩さんとのアンサンブルツアーに備え、今日はリハーサルを行いました。米津さんに会うのはラリアンスのディナーショーにお客さんとして来てくれて以来ですから5ヶ月ぶり。イタリアへの留学を前に、ちょっと大人びたような印象でした。

挨拶もそこそこに、早速演奏です。今回のアンサンブルは、昨年の「せんくら」でも大好評だったラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。序奏を聞くなり、ああ、大人びたのは見た目だけでなく、むしろ内面の方かもねと感じさせられました。

とりあえず3楽章まで通してみましたが、以前の米津さんとはまったく違います。鮮やかな弾きっぷりは健在ですが、いかにも抑制が効いたロシアっぽい表現に格段の磨きが掛かっています。

これなら何も心配いらないと思うと同時に、欲も出て来たので、日本人ピアニストや日本のオーケストラにありがちな解釈の違和感を中心に互いの考えをぶつけ合いながら、丁寧に音楽を組み立てることに時間を費やしました。

以前の私は、ピアノの部分は米津さんの好きなように弾かせ、私はそれに合わせていくという手段を取っていましたが、今回は自由にさせるつもりはありません。かといって、米津さんが窮屈さや不自由を感じていたのでは、よいアンサンブルにはなりません。

ラフマニノフの協奏曲第2番は、交響的な流れの中にピアノを組み込むべき部分が多々ありますので、ピアニストの持つ理想をじゅうぶんに理解した上で、それが活かせるフィールドを作ってやるのが、オーケストラ&コンダクター役である私の責任と心得て、よいアンサンブルを目指します。

残り時間でラフマニノフのピアノソナタ第2番も聞かせてもらいましたが、それはそれは幸せな時間でした。グランドピアノの脇にあるイスにリラックスして腰かけ、目の前で繰り広げられる深遠な音楽宇宙と人間業とは思えない超絶技巧を独占する機会なんて、音楽家の私にもそう滅多にはありませんから。

これで更に自信が高まりました。8月25日の香川、8月29日の姫路、9月1日の新潟、これらのコンサートを聞き逃すのは大損です。今の私自身のすべてを捧げるステージを、ぜひ体験して下さい。

さて、話は変わって、久しぶりのグルメレビューです。お馴染みのご近所レストラン、ハイアットリージェンシー東京のカフェでは、香港のグランドハイアット「グリッシーニ」のレシピによるプロモーションメニューが楽しめます。

8月22日から25日までは、グリッシーニのアンドレアシェフも店に顔を出しているそうですが、その時期には行かれそうもないので、一足先に味わって来ました。

仔牛のカルパッチョ風 ツナとケッパーのソース

海老とパッケリ プッタネスカソース

ラザニア ボロネーゼ

カルナローリ米 ロブスターのリゾット サフラン風味

オマール海老と浅蜊のサルディーニャ風 セミドライトマト風味

チキンの詰め物 コロナータラルドとハーブの香り アスパラガスとマッシュポテト

マンゴープリン

香港仕込みとあって、夏にぴったりのテイスト揃い。どことなくエキゾチックな風味が香る料理も。イチオシはラザニア。デザートのマンゴープリンは果肉感たっぷり。どの皿にも燦々と太陽が降り注ぐイメージで、元気をいっぱいもらいました。