6000泊の記憶

公開が遅れていた喜怒哀楽2011年が完成し、アップロードを済ませました。これで1992年から2011年まで、20年分のレビューを書き終えたことになります。約二千のエピソード。平均3泊として、私がホテルで過ごした約六千泊分の記憶です。

喜怒哀楽を書き始めた当初は、まだホテルの情報が乏しい時代でした。今でこそ、客室の詳細情報はもちろん、実際に泊まった人の感想も簡単に入手することができますが、以前はブローシャーと呼ばれるホテルパンフレットと実体験だけが情報源でした。

それだけにホテルはミステリアスな劇場のような存在でもあり、探検する楽しみが尽きなかったのです。それと同時に、聞こえのいい言葉だけを重ねているパンフレットと、実際に泊まってみて感じる印象とのギャップにも、相当驚かされてきました。

そんな理想と現実のはざまで、ディテールや実体験をリアルに綴ったら人々の参考になるのではというのが喜怒哀楽公開の動機ですが、情報が溢れる現在においては、すでに役割を終えたとも思っています。

その一方で、この喜怒哀楽を単なるレビューとしてでなく、サービスを磨くためのヒントにしたり、好ましくない出来事が生じた時の対処法の参考にしてくれているプロフェッショナルの方々も少なくありません。

でも、私は単なる消費者であって、サービスやマネジメントのエキスパートではありませんので、たわごとはこれくらいにしておきましょう。

またどこかで素晴らしい体験をして(あるいはひどすぎる体験かもしれません)皆様にお伝えしたくて仕方なくなったら、時折更新したいと思います。

この20年で最高に居心地がよかったホテルを1軒だけ挙げるとすれば、それは迷わず沖縄のナハテラスです。逆に、最低のホテルを知りたいですか?たちまちいくつか思い浮かびましたが、やめておきましょう。長い間のお付き合い、ありがとうございました。