旧奏楽堂を振り返って

悪天候の中、激しく揺れる飛行機に乗って、東京へと戻って来ました。まだ一昨日のできごとだった旧奏楽堂での演奏会。なんだか、遠い昔のことのように感じます。山形さんは昨晩ルーマニアに向け出発しました。私も旅立ちの準備を進めます。

でも、今度の旅立ちに旅行カバンはいりません。それは身の振り方に関することだからです。ずいぶん前から、この先の生き方について考えを廻らせていたのですが、そろそろ決断の時。奏楽堂での演奏会は、躊躇する気持ちに踏ん切りをつけてくれました。

そういった意味でも、山形さんには貴重な機会をいただいたと感謝しています。奏楽堂での演奏という夢も叶いましたし、東京でピアノ協奏曲を演奏することもできました。

また、演奏会で一言もしゃべらないというのも、私にとっては珍しい経験でした。音楽だけに集中することが、これほど有意義だとは思いもよらなかったほどです。

この先、お会い出来る機会は徐々に少なくなることでしょう。それでも、音楽が私の中から消え去ることは決してないと思います。