ハノイの混沌とエレガンス

ベトナムならではのスタイルでアスファルトを行く女性。夥しい交通をものともせず、マイペースで歩く姿に釘付けになりました。ハノイの街には混沌が溢れていますが、その中でさえも人々は穏やかなリズムを貫いて生きています。

朝一番でホーチミン廟へ。日曜日とあって礼拝者が後を絶たず、長い列に並び、厳かな気持ちで遺体と対面してきました。音楽にも造詣が深かったというホーチミン氏に、一度でいいから演奏を聞いてもらいたかったものです。

ハノイの交通は、ほとんどめちゃくちゃ。信号無視は当たり前。追い越しや無謀な割り込みも日常茶飯事です。信号はほとんどなく、歩行者が道を横断するのは命がけです。

日本の感覚だと、急ぎ足で渡り切ってしまおうと考えますが、それはとても危険。むしろゆっくりと歩き、バイクにも車にも「避けるチャンス」を与えながら渡ります。

車もバイクもひっきりなしに往来するものの、あぶないと思えばすぐに停止できるくらいのスピードを保っているように見えます。車は中国が一番怖いです。

それにしてもバイクの数は半端ではありません。聞けば、免許がいらないとか・・・しかも、二人乗り、三人乗り、四人乗りまで見かけます。子ども連れの場合、四人乗りでも合法だそうです。

歩き疲れて、ホアンキエム湖のほとりにあるカフェへ。4階のオープンテラスに並んだテーブルからは、ハノイの街並みを一望でき、ロマンチックでエキゾチックです。

眼下の喧騒と穏やかな湖面。そしてここに集うさまざまな国の人たちがくつろぐ顔。忘れ難い雰囲気にうっとり。

そしてオペラハウスへ。この周囲だけは、建物も空間配置もまるでパリ。道も広く、あちこちに緑やベンチが配され、一日中ぼんやりと過ごしたい場所。オペラハウスは1911年に完成。今でもさまざまな音楽公演に利用されています。チケットが高額なため、一般のハノイ市民はほとんど鑑賞できないと聞きました。もしチャンスがあれば、誰でも気軽に音楽を楽しめるような演奏会をやってみたいものです。

しばし佇みながらオペラハウスに語り掛けていたら、雲も間から太陽が顔を出し、オペラハウスを黄金に照らしてくれました。