十割そばで〆る懐石 旬香茶寮 あをせ(新潟)

延命寺第1回「寺」コンサートの終演後、その成功を祝っての食事会がありました。会場となったのは、新潟駅南口から近い「旬香茶寮 あをせ」。手間暇惜しまず作られた料理と、チャーミングな女将さんが迎えてくれる、商都新潟ならではの粋な店です。

通常、日曜は定休日ですが、この日は特別に店を開けてもらったそうです。つまりは貸切。大騒ぎをする集まりではありませんが、他のお客さんに気兼ねなく過ごせる開放感は、コンサートアフターにはありがたい限りです。

座敷に並んだ机を囲んだのは、延命寺の皆さんと、世話役をしてくれたご夫妻や縁者の方々。2歳のお嬢さんから90代のお姉さん(?)まで、4世代揃うと壮観です。

新潟の銘酒で乾杯。さすが地元の皆さんはどんどん飲みます。一升瓶が何本あっても足りないのでは?と思うほど。飲めない私も、気分だけはほろ酔いでした。

さて、お料理はというと、酒の肴にぴったりの先附けたちに始まり、酒の勢いだけで口に運んではもったいない品々が続きます。


重に入った小鉢には、ふだん私が苦手な塩辛もありましたが、鮮度がいいのか、美味しく食べられました。新潟の郷土料理「のっぺ」もあります。


造り三種。前日のホテルダイニングでも感じましたが、魚介類の甘みは格別。


茶碗蒸しはシルクのような滑らかさ。具は控え目で、最後までツルツルとろ~んとした舌触りを楽しめます。


焼き魚は真鰈。新潟や山形ではクチボソと呼ばれているそうです。干し加減が絶妙で、ふっくら焼き上がっています。


米天国新潟ながら、あえて食事は十割そばというところも粋です。会津山都の新そばです。この日は昼夜二度も蕎麦を食べられて幸せ。女将さん手製の漬物盛り合わせも、ついつい箸がのびてしまう美味しさでした。


デザートはイチジクのゼリー寄せ。パティシェがいるの?と思いたくなるような仕上がりです。

料理と酒に舌鼓を打ちながら、寺の方々の話にも熱心に耳を傾けていたのですが、おおらかで純情で遊び心もあって、お堅いイメージとは一味違うお人柄を感じました。こうした皆さんの思いが重なってこそ、第1回「寺」コンサートは成功したのです。