新潟シティ合唱団コール・トゥッティ定期演奏会

長い時間を掛けて準備してきた定期演奏会を終え、一夜が明けました。公演後には雨が降り出しましたが、明け方には上がり、新潟に爽やかな日差しが戻りつつあります。

公演当日の目覚めは、あまりよくありませんでした。寝しなに飲んだ強い薬が残っていたため、体が重くて冴えません。でも、しっかりと朝食をとり、いざ会場へ。気持ちだけはステージに向けて盛り上がっています。

ランスルーリハーサルを控えたホール。まだ客席には誰もいませんが、本番には多くのお客様で賑わうことでしょう。ステージでは発声練習中。準備体操も済ませました。

合唱団の皆さんは緊張とワクワクがミックスした表情。よく見ると女性陣のヘアースタイルが前日とは違っています。皆さん、ドレスアップを楽しんでいるようです。

予定通りの時間に時任先生が登場し、リハーサルスタート。私の出番は最終曲のみですので、客席で歌声に耳を澄ませます。やさしく美しい響きは、まるで私のためだけの演奏会を聞いているかのようで、朝からの不調は一気に吹き飛びました。

途中、会場の皆さんにリラックスした楽しみをお届けするためのサプライズも。その練習に余念がありません。和気あいあいと準備を進めるうちに、皆さんの緊張も解けて行きます。

リハーサルが終わり、昼食と身支度の時間になりました。私は時任先生と同じ楽屋。マエストロの直前集中の邪魔にならないよう、なるべく楽屋にと留まらないよう気を遣いますが、昼食だけはご一緒しました。

仕出し弁当を食べながら、指揮者の世界について、いろいろなことを聞かせてもらいました。いつごろから指揮者になることを意識して勉強したのかや、指揮者に求められるものとは何かなどを知ることができ、とても有意義でした。

やがて本番。前半に私の出番はないので、時任先生が舞台にいる間に、自分の身支度を済ませます。準備が整ってからは、舞台袖で歌声を聞きました。

舞台扉の隙間からのショット。時任先生の手が描く軌跡からは、音楽がカタチになって見えて来ます。

いよいよ終曲、グローリア。合唱の皆さんと一緒にステージに向かい、スタンバイ。時任先生が登場し、ピアニストや私にも礼をうながしてくれます。

そしてまず、美しい無が創りだされ、その無を突き破るようにして、ティンパニと低音楽器のスフォルツァンドから音楽が始まります。

あとは思い切り楽しむだけ、といいたいところですが、実際は無数のことに意識しながら、バランスを保たなければなりません。

この日のためにリハーサルを繰り返して来ましたが、本番は今が初めて。満席のお客様により響きがどう変化するか、また、1部から通して歌い続けている合唱団の声も変わってくるかもしれませんし、時任先生が本番でどう振るのかも、初めての体験です。

同様に、私が本番でどう演奏するかも、時任先生には未知数だったことでしょう。

それらがはじけ合い、どんどん新しい反応が生まれて行きます。指揮者と演奏者は主従ではなく、要は息が合うかどうかだという話を楽屋で聞いたばかりだったこともあり、初めてのフィールドで一緒にサッカーをプレイするような感覚で、互いの息を感じながらの演奏ができました。

演奏を終え袖に下がってから、アンコールの2曲を見守り、戻ってくる合唱団員たちを迎えましたが、皆さん輝いた表情をしており、本当に楽しかったんだろうなと思います。

お客様もきっと楽しんで下さったに違いありません。絶妙なプログラムでしたので、1回きりで終わってしまうなんてもったいない!

終演後は打ち上げの会がありました。稽古の時には引き締まって歌っている皆さんですが、すっかりリラックスして違った一面を見せてくれました。まだステージの余韻に包まれている感じです。

でも、一夜明ければ、ああ終わってしまった・・・と寂しさが襲ってくるかもしれませんね。また新しいスタートを切り、次のステージまで気の遠くなるような稽古を重ねて行くことでしょう。

そしてまた一段と心に響く歌声を聞かせてくれることに、おおいに期待を寄せたいと思います。