宿題山積

東京に戻って来ました。今月は旅が多く、東京にいるのは10日ほど。留守の間にたまった仕事に早速取り掛かることにします。

目前に迫るコンサートのステージプランを練る合間に、新しく引き受けたコンサートの打ち合わせや、それに関わる編曲も進めていきますが、今、最も急を要する作業は門下たちのコンクール向け課題の添削です。

エレクトーンのコンクールは、選曲から仕上がりまでに長い過程を要します。選曲に当たっては、できるだけ多くの作品を聞き、本当に打ち込める曲を探し当てなければなりません。

それを編曲しながら、規定の演奏時間に収まるよう、長さの調節にも頭を悩ませます。そしてレジストレーションと呼ばれる演奏用データの作成も重要で、緻密さと根気が求められます。

これらに並行して、もっとも大切な過程である演奏の稽古に没頭することになるわけですが、総じて時間が足りません。

たった半年ほどの準備期間で大作を自分のものにするのは、十分な経験を積んだプロにとっても困難なこと。何年もの間、何十回、何百回と演奏して、やっとコツがつかめてくるのが現実ですから、短期熟成にはそもそも無理があるわけです。

こうしたにわか仕込みの経験を何年繰り返しても、ほんものの音楽には近づけません。ほんものの音楽を奏でるには、もっと深く、もっと洗練を極めるという息の長いチャンネルが必要なのです。

私のレッスンでは、限られた時間を可能な限り音楽稽古に集中して使います。一般的にエレクトーンのレッスンでは、レジストレーションの手直しに時間を割きますが、私の場合、これにほとんど触れません。

レジストレーションも重要ですが、いかに演奏するかという本質に比べたらら優先順位は下がります。つまり、レッスンでは音楽を極めることを最優先にするのです。

かといって、レジストレーションを軽視しているわけではありません。本人なりに精一杯創作した楽譜とレジストレーションは、私が一時的に預かって、次のレッスンまでに添削をします。

そのレジストレーションや楽譜を見れば、本人の音楽性や作品への理解度が一目瞭然。添削しながら本人の隠された個性や才能を見つけ出すこともしばしばあり、煩雑な作業ながらも秘かな楽しみが隠されています。

ゴールデンウィークが終われば、いよいよコンクールシーズン。今週はとくにたくさんの宿題が私の手元にやって来ました。本人の音楽性が十分に発揮できるよう、添削に励みます。