彩のお昼会席 ハイアット・リージェンシー・大阪

今回の大阪ステイは南港のハイアット。中一日に外出の必要がないスケジュールだったので、喧騒から離れて海に沈む夕日でも眺めようかと思って選んだのに、外国人団体客ですごいことになっています。

せめて食事は少しでも静かな環境でと望むものの、落ち着ける場所はあまりありません。街外れの田舎なのに騒々しいなんて。そんな中、日本料理「彩」の座敷だけは天国でした。

このホテルもかつては国際的都市型ホテルの体裁を保っていたのですが、次第に原形が崩れて来ました。それを特に感じるのはサービスの質から。テンポ感も能力も、都市型ホテルというより、スタンダードクラスのリゾートホテル的で、まどろっこしく思えます。

飲食店は高級路線の店が消滅し、気軽で手ごろな店へと転換。ホテルイベントは若手タレントのトークショーとか、アンパンマンショーとか。そのものが悪いわけではありませんが、世界的に定着しているハイアットのイメージとはかけ離れています。

ランチタイムに営業している店は、ブッフェ、カジュアル飲茶、カジュアルイタリアン、日本料理の4店舗。うち、ビジネスで使えそうなのは日本料理店だけです。

この日、日本料理店もホールは満席。幸い個室にだけ空きがあり、理想的な環境に落ち着くことができました。

昼の献立は2,090円、2,860円、4,400円の3種類。人を招く時は最低10,000円くらいの料理でないと格好がつきませんが、これしかない中で一番高いものを注文しました。

まずはかつおの造りと串打ち。厚焼き玉子 海老芝煮 丸蒟蒻 花丸胡瓜 焼板 独活香梅煮。これらが串に刺され、桜の葉で挟まれています。

吸い物。茗荷の真丈 蓬豆腐 刻み白葱 木の芽。

焼き物。筍と白海老の湯葉包み焼 空豆 若布餡掛け。

煮物。新玉葱と牛ほほ肉の煮物 じゃが芋餡掛け。

ご飯は桜の葉を入れて釜炊きした白御飯。桜海老のかき揚げ 赤出汁 香の物が付きます。

甘味はおからのケーキ。苺とブルーベリー、アイスクリーム添え。

料理はいい意味でホテルの店らしくなく、街中の店の粋を感じさせます。アイデアもなかなか。座敷のサービスは実に礼儀正しく、茶室で過ごす時間のようでした。

トータルで値段以上の価値を感じましたが、それだけにもっと実力が生きる予算の料理が食べてみたいと思いました。

飲みものは宮崎の芋焼酎「川越」があったので、迷わずそれをチョイス。夫婦手作りの稀少な焼酎は、優しく気品のある味わい。国富町の風景が心に蘇ります。