BVLGARI IL RISTORANTE ブルガリ銀座タワー

銀座は、いつの時代も洗練と本物の象徴として世界から愛されている街。刻々と表情を変えつつも、ただ新しいだけではなく本質を発信し続けることで、他にはない風格や文化の香りを感じさせます。

銀座通りの景観は、ここ数年でガラリと変わりました。次々にトップブランドのシグネチャータワーがオープンし、それぞれのブランドのすべてを体感できる設備を整えて、世界中のゲストを迎えています。

そのひとつがブルガリタワー。銀座二丁目の、ちょうど松屋さんの隣に堂々と構えるタワーの9階から上が、リストランテやバール、ラウンジを備えた「ブルガリ・ホテルズ&リゾーツ 東京レストラン」です。

これらの飲食施設には専用のエントランスとエレベータが備わっており、入るとレセプショニストが出迎えてくれます。

リストランテに直行するなら9階へ、待ち合わせ、あるいは食前にバールでくつろぐなら10階へ。11階にはオープンエアのガーデンラウンジもありますが、この季節はさすがに寒いですね。

リストランテのホール席は9メートルもの高い天井が印象的。大きなガラス窓からは、銀座通りの華やかな夜景が見えます。公式サイトのフロアプランと同じ座席配置ですが、サイトやパンフレットの写真とはちょっと異なっていました。

ディナーは24,200円のコースメニューの他、アラカルトからプリフィクススタイルで選べるコース、そしてアラカルトが用意されています。

プリフィクスの場合、料理3品+ドルチェの4皿コースが16,500円、料理4品+ドルチェの5皿コースが19,800円。

アラカルトの場合は、ひとり3品以上からと記載されていますので、事実上コース仕立てで注文することとなり、最も手ごろなものを組み合わせたとしても、12,100円が最低料金です。

今日は次の予定が決まっており、店で過ごせるのは2時間しかありませんでしたので、4皿コースを選びました。

まずはストゥッツキーノ。ブルガリのリボンが掛かったレンズ豆とサラミの煮込み、そして熱々のコロッケ。

自家製のパンの味を更に引き立てるのは、太陽のにおいが感じられるオリーブオイル。

前菜は真ダコのグリル バルサミコ 根セロリのクリーム 旬のきのこ。運ばれてきた瞬間、香港の街にいるような気分に。スパイスの風味がそう思わせたようです。色彩感がシック。

1の皿はグラニャーノ産のメッツィパッケリ スカンピのソテー レモンのパーネ。イカリングのようなパスタは、歯ごたえしっかり。甲殻類のソースとブロッコリーソースのコントラストもいい感じです。

2の皿は仔羊のロースとリードヴォー 菊芋のピュレ ブラックトリュフ。アピシウスの黒トリュフより芳しく、くらくらするほど。すっかりお気に入りの一皿でした。

ドルチェはミックスベリーのプロフィトロール ピスタチオのジェラート。運ばれてきたのはキューブの組み合わせ。想像していたプロフィットロールとはまったく違っていたので、新鮮な驚きです。キューブの中に、ちゃんとシューが入っています。

食後は小菓子とコーヒー。器やリネンはもちろん、料理やサービスもトータルでブルガリの美意識にマッチしています。

ブランドのレストランに対しては、正直、気取りや雰囲気重視で中身はどうなのかと思っていたのですが、たとえブルガリの名を冠していなかったとしても、リストランテとして十分に魅力的です。

伝統的な一面と、洗練されたモダンさ。オーセンティックかと思えば、どことなくエキゾチックだったり。イタリアを基盤に、世界を旅するような自由さを感じさせつつ、実はどこまでもイタリアなところに惹かれました。

イタリア人のシェフやソムリエは気さくですし、他の若いスタッフたちもいい仕事をしていました。ステキな店に出会うと、すぐに誰かを連れていきたくなってしまいます。