クリムトの接吻とシュルンベルガーのスパークリングワイン

冷たい雨の金曜日、オーストリア大使館で催しがあり、その中でご来賓の皆さまにエレクトーン演奏をお届けする機会をいただき、張り切って弾いて来ました。

招待客のみのクローズイベントで、大使館が会場だったため、内部の詳しいレポートをお届けできないのが残念ですが、それはそれはステキなひと時でした。

大使館には立派なダイニングルームやサロンの他、鯉のいる池を持った日本庭園もあります。

エントランスホールには、来年生誕150周年を迎える画家クリムトの接吻が展示され、シュルンベルガー社のスパークリングワインが、ロブマイヤーのグラスで振舞われていました。

こんなことを言っては叱られるかもしれませんが、今回あることからロブマイヤーグラスの比類なきクオリティを知ることになったのです。

それは、どなたかがグラスを落として破損してしまった時のこと。その音の鋭くて美しい響きに、他のグラスとの明らかな違いを感じました。一生忘れられない音です。

私の演奏は催しの中盤でご披露しました。オーストリアにちなんでヨハンシュトラウスの作品を演奏したのですが、本場ウィーンの響きを聞き慣れている方々の前での演奏は、いつも以上に気持ちが引き締まります。

でも、私の周囲をオーストリアの空気が完全に包みこんでくれていた環境だったので、まるでウィーンで弾いているような気分でした。

オーストリア大使館の後は、六本木のグランドハイアットへ。友人と落ち合い、目の前にある中国料理店に入りました。

店内はまるで台湾の屋台のような活気。各テーブルは、若いサラリーマンたちを中心に、早くも忘年会のような盛り上がりです。

この店は北京ダックが専門らしいのですが、実際のメニューは何でもあり。一皿210円の小皿料理から、超高級フカヒレまで、価格も幅広く揃っています。

でも、中国で食べたすべての料理が、ここよりは美味しかったですし、安かったです。ここの料理は、北京で食べたら一皿せいぜい数元くらいでしょう。それを思うとめちゃくちゃ高く感じました。

それに、中国でもこんなに騒々しい店はなかなかありません。今や、中国人の方が上品かもしれません。

店を出ると、けやき坂のイルミネーションの美しさにドキッ。雨は冷たいけれど、光を見るにはかえっていいように思いました。