寺コンサートを終えて

延命寺での演奏会を終え、東京へ戻って来ました。
カルメン、コール・トゥッティ、寺コンサートと、今年は新潟との縁が深く何度も往復しましたが、年内はこれが最後です。

第4回目となる寺コンサートは、毎回楽しみに待ってくれているご常連さんと、その方々に誘われて参加してくれた新しいゲストに囲まれ、和やかで心地よい演奏会になりました。
お寺の皆さん、コンサート事務局の皆さんともに、準備の時から和気藹々。いつもは引き締まった空気の本堂も、この日ばかりは笑顔いっぱいの空間でした。

演奏会を2回に分けたのも大正解。2回にしようと思い立った時から、お客様を2倍にしようと考えたわけではなく、ゆとりある空間でしみじみと音楽を満喫していただきたかったのですが、ちょうどいい距離感になったと思います。

ただ、結構濃厚なプログラムを組んでいたので、2回ともガス欠にならずに通せるかが不安でした。前泊なしで早朝からの移動の後、リハーサルを含めて110分×3回の演奏。老境目前の私にはかなりリスキーです。でも、数多の経験で持久力が付きましたし、体力コントロールのコツも掴んでいます。今回はリハーサルで消耗し過ぎないようにしたこと、演奏前に飲食を控えたことが功を奏し、2回目が終わった後にも余力が残っていました。

延命寺のコンサートでは、お客様がエレクトーンを180度取り囲み、三方向から視線が集まり、いつもは背中側で見えない客席が、一部ではありますが常に視野に入っています。すると、演奏中にお客様の表情も見ることができます。皆さんがそれぞれの音楽に合わせて表情を変えていく様子がよくわかるのですが、その表情の美しさに何度もハッとさせられました。それがその音楽の素顔そのものなのかもしれないと思うと、私の心はさらに掻き立てられ、それが音楽のさらに奥へと踏み込んだ演奏へと導いてくれたのかもしれません。

そして繰り返しご来場いただくことで顔見知りになったお客様と直接言葉を交わせるのも、こうした小さなコンサートの魅力です。ふだん演奏の感想を直接耳にする機会は少ないので、生の声を聞くと、自分が音楽を続けて来てよかったと実感することができますし、次への意欲もいただきました。ホールでのコンサートとも、サロンコンサートとも違う、寺コンサートならではの雰囲気。これからも続き広まっていくことを期待します。

さて、せんくらが終わって4週間。その間に仙台でご鑑賞いただいた方々からメールが届きました。私が自分で考えている以上に、エレクトーンでクラシック音楽を演奏することや、それがせんくらで紹介されることの意味を深く理解してくださっていると知り、体が震えるほど嬉しく思いました。さまざまな演奏家による様々な音楽を聞いた上で、せんくらには神田さんのような演奏やチャレンジが必要だと言ってもらえたのは、本当に光栄です。自分の存在などたいした価値はないなと思い始めていたところでしたので、心底救われました。

 

p1210724