エレクトーンサマーコンサート和歌山

梅雨明けした関西には夏空が広がっていました。今日は和歌山の宮井ホールでのソロコンサート。お膳立ては天気も含めて万全。あとはよい演奏をお届けするのみです。

午後1時過ぎに会場入りし、念入りにリハーサルを重ねながら、場内の響きや楽器のコンディションを確認。日頃からレッスンで使いこまれている楽器なので、ややタッチコントロールの反応にクセがありますが、手応えを体に覚え込ませます。

4時間弱のリハーサルを終え、疲労度合をチェック。やはりブランクがあったことが影響して、やや体力を消耗しすぎた感があったものの、本番に向けてのコンディションは上々です。

開場してからは楽屋でストレッチをして筋肉の柔軟性をできる限り引き出す努力を。そしてタキシードに着替えてスタンバイ。今夜はお気に入りの「FRAY」のシャツを着ました。

ホールは120名で満席の小さなスペースですが、演奏を身近に感じてもらうには最適な環境。どこに座ってもSS席圏内です。

満場のお客様に迎えられてステージに進み、客席を見渡した時、やっぱり私は人前で弾くことが生き甲斐なんだと実感しました。

楽器に向かって最初の音を奏でるまでのわずかな時間、場内に心地よい緊張感が漂うのがわかりました。自ら音楽を聞きたいと思っているお客様だけが集まっている時にしか生まれない空気感です。

その期待はプレッシャーにもなりますが、むしろ腕が鳴ると言った方がいいかもしれません。

お客様の半数近くは子どもたち。でも、みんなエレクトーンを弾いている子です。そのうち何人かはここで私の稽古を受けていますが、教室で見る緊張した顔とは違って、ピュアで好奇心に満ちた表情でした。

そこで、今回は特にエレクトーンが大好きな子どもたちへのメッセージを込めた曲を多く選びました。

コンクールでは華やかで聞き映えのする曲が好まれます。私ももしコンクールに出るなら、そういう曲を選ぶでしょう。でも、華やかな曲にも表現力は必要。なので、今回は音楽表現に重点を置いた選曲をしました。

そして、全力で弾く私の姿を目の前に、きっと何かを感じ取ってくれたことと思います。

ところで、最後の曲を弾いている時に、思わぬ事態に。鍵盤と鍵盤の間に薬指が挟まって抜けなくなったところに、勢いよくモーションを掛けたものだから、指のフォームが極めて不自然になり、激痛が走りました。

瞬間的に弾き続ける選択をしましたが、弾きながら「もしかして折れた?」と不安に。次第に感覚がなくなっていくのが怖かったです。

今もまだ痛いのですが、とりあえず折れてはいないようです。それにしても、鍵盤に指を挟むなんて、これまでで初めて。不思議な経験でした。

終演後には生徒たちから花束をもらいました。手紙を添えてくれる子もいて、楽器に向かっている時とは違った、等身大の少女たちを垣間見ました。また今日も宝物が増えました。