神田将エレクトーンリサイタル in 明石

関西では初めての開催となった神田将リサイタル。多くの皆さまに支えられながら、何とも言えない余韻を残しつつ終演することができました。

少々雲行きがあやしくなってきた午後1時。会場の準備がスタートし、まずはステージに楽器が搬入されました。シンプルなステージに、STAGEAプロフェッショナルモデルと、トーンキャビネットKA-75が2本。なぜかいつもよりエレクトーンが堂々と見えました。

楽器店の担当者さんたちも受け付けなどの準備を進めてくれている中、私は楽屋でコスチュームなど、使うものを並べて整理。今日は化粧前のテーブルに、子どもたちからもらった品を置き、本番直前までそれが目に入るようにしました。

それからすぐにリハーサル。まずは会場を担当する係にも全体を把握してもらうために、全曲のランスルーをしました。まだ空気が冷めたままの会場では音が心地よく響かず、表現したいものが思うように出せませんでしたが、まだ時間はたっぷりありますので、馴染むまで焦らずに弾き続けます。

通して弾いて1時間40分。大きなコンサートピースを中心とした選曲にしたので、思ったよりも時間がかかります。今日は演奏を中心して、音楽にどっぷり浸ってもらいましょう。休憩なしですから、トータルで120分にはならないように注意しなければなりません。

開演1時間前にはリハーサルを切り上げ、会場の空気を少しでも鎮めるようにしました。私はいつもギリギリまで弾くので、早めにアップするのは珍しいことです。

開演は定刻通り。遠方からのお客様が渋滞で遅れるとの連絡もあり、間に合うのかやきもきしましたが、主催者からの開演指示がありましたので、それに従いステージに向かいました。

いつもなら一礼をした後、すぐに演奏を始めるのですが、今回はプログラムを大きく変更したこともあり、挨拶と冒頭の曲説明を先に入れさせてもらいました。

今日のお客様は非常に集中しているのが、舞台まで伝わってきます。重いテーマの曲が冒頭で2曲続きましたが、選曲の意図をご説明した上で演奏したこともあり、しっかりと聞いて下さいました。

2曲目あたりから左足にねんざのような違和感が。痛みはどうでもいいのですが、思うように動かないのには困りました。なんとなく足の動きがいつもと違うとお感じになったお客様もいらっしゃったのではないでしょうか。

これは最近、ランニングを控え、水泳中心のトレーニングにしたことが影響していると思います。すぐさま反省し、筋肉強化に努めます。

もう2曲クラシックを弾いた後は、皆様から寄せられたリクエストを4曲。ミュージカルや映画の曲など、比較的耳に馴染みやすい曲が続きましたので、このあたりが一番リラックスして聞いていただけたことと思います。

続いて、コンチェルト的な作品を2曲。これはなかなか楽しく演奏することができました。

最後の曲の前に、今回のチャリティーに関する説明を。ここで岩手や宮城の子どもたちの顔を思い出したら、急に涙がこみ上げて来ました。私が舞台で涙を見せたのは、これが初めてです。

涙はすべてを狂わせてしまうのですね。最後の曲を弾き始めて、すぐに指が動かないことに愕然とさせられました。まるで引退コンサートの終曲で声に詰まる歌手のような感じ。

涙がこみ上げたことで、指が、腕が、そして全身が、しびれたような状態になってしまったのです。その後は操作ミスまでするし、もう一度弾きなおしたいくらいでした。

どんなに感極まっても、演奏が残っている間は決して泣いてはいけない。これは今後の教訓となりました。

終演後は多くのお客様と握手を交わしました。本当は全員のお客様と目を合わせて挨拶をしたかったくらいです。

また、エレクトーンを学ぶ関西のエリートたちも大集結して鑑賞してくれました。その顔触れは「甲子園級」の豪華版。何人かの子は帰ってしまった後でしたが、残っていた子たちと記念撮影をしました。

こうして所属楽器店や講師陣の枠を超えた交流を持てるのは素晴らしいことです。私にとっても記念すべき写真となりました。次にこの舞台を仕切るのはこの中のひとりかもしれません。この子らの将来が楽しみであると同時に、東北の子どもたちにもチャンスを届けたいと思いました。