夜行列車

私は今、香川から東京へ向かう夜行列車に乗っています。昔は日本中を結んでいた夜行列車。ブルートレインの愛称で親しまれ、私にとっても子どもの頃からの憧れでしたが、今は限られた区間を残すのみとなりました。

今日は朝からスーパーレッスン。大舞台で自作曲の演奏機会を与えられた子に、思い出に残る演奏ができるよう、詳細で熱のこもった稽古をしたのですが、寄り添いながら私自身も大変幸せな時間を過ごすことができました。

時間を追うに連れて輝きを増していく様子を目の当たりにするのは、私自身が舞台で弾く喜びをかみしめる瞬間に、勝るとも劣らない素晴らしい体験です。

午後からは3人によるアンサンブルを聞かせてもらい、そのまま彼女たちの演奏会を見に行きました。曲はラフマニノフの交響曲。この、世にも美しくロマンチックな曲を、若いながらに魂を注いで演奏する様子は、聞き手の胸を強く打ちました。

人が弾くエレクトーンに、これほど大きく心を揺さぶられのは、久しぶりです。

終演後は一緒に食事をしながら、音楽のことやエレクトーンのことを語り合いました。気がつけばもう夜も更け、私が乗る列車の時間が近づいていました。

人もまばらな駅から乗り込んだのはサンライズ瀬戸。ブルートレインとは色も設備もまったく異なる、現代の寝台列車です。客車ではなく電車ですし、車内の設備も新しい感じがします。ある意味、旅情には欠けますが、少なくとも快適さは格段に向上しています。

小さなベッドに、パソコンを広げられるだけのデスクとイス、そして専用の洗面台が付いています。これから明石や大阪と通って、東京に到着するのは明朝7時過ぎ。

見慣れた車窓が続きますが、いつもと異なる車内から眺める景色は一味違うことでしょう。ワクワクしすぎて今夜は眠れそうもありません。

姫路到着。まもなく日付が変わります。