堪え難い痛みを癒すもの

シンガポールが暑かったこともあり、日本の寒さが身に染みます。といっても、外気に触れたのはほんの数分ですが、ふと見かけた白梅に心奪われました。

今日は痛みに耐える出来事がありました。

もともと私は痛みには強い方です。歯医者も大好き。だって、横になっているだけで、何もかもをスペシャリストたちがやってくれるなんて、王様のようじゃありませんか。痛いなんて言ったらバチが当たります。

10年以上も前ですが、舞台から落ちて大きなけがを負った際も、救急で診察してくれた医師から「こうしたら痛みますか?」と尋ねられても、「いや特に・・・」と答え、「そんなはずはない」と逆に叱られました。

痛くないわけではありません。痛みを感じないようでは、ただの鈍感です。でも、どこからが痛いというのか、その境界がわからず、耐えられるうちは痛いといってはいけないような気がしているのです。

今日はちょっとした外科的な手術を受けました。美容整形じゃありませんよ。でも首から上のことでした。

私は体質からか、あまり麻酔が効きません。そのため、鋭くて熱さを感じるような痛みと戦わなければなりません。痛いと言えば中断されてしまうので、ポーカーフェイスで通します。

そんな時、救いになるのが音楽です。今日は1時間ほどの間、ずっと心にはバッハが流れていました。心を音楽で満たすと、不思議なことに痛みは半減します。

さらに、心の中で自分自身が演奏しているところを想像すると、痛みはまったく消えてしまいます。

実際、演奏中には一切の痛みは感じません。爪が半分剥がれても、ぎっくり腰で弾いていても、弾いている間だけは、全神経が演奏中に集中するので、痛みなど感じている余裕がないのでしょう。

今日もバッハのおかげで痛くありませんでした。音楽は思わぬところでも私たちを救ってくれます。