Boeing 747

やっとハワイの風土に馴染んできたところですが、そろそろ東京へ戻らなければなりません。休息と家族サービスを兼ねた旅行のつもりが、私自身の再発見と再生の旅路となり、さまざまな思いを携えての帰国です。

ホノルル滞在中は、ずっと好天に恵まれて来ましたが、出発の日だけは重たい雲が垂れこめていました。と言っても、目覚めたのも、ホテルをチェックアウトして出発したのも、まだ夜明け前のこと。最後にもう一度、オーシャンフロントルームのラナイ(バルコニー)で青い海を見たかったけれど、代わりにワイキキの夜景が見送ってくれました。

荷物を持ってロビーに降りると、すでに朝食の支度や調度品の手入れが始まっていて、活気がありました。

レストラン入口では、無料のモーニングコーヒーが振舞われており、それを一杯もらって眠気を払います。さして美味しくないコーヒーですが、最後の一杯だと思うと、味わいもひとしおです。

ホノルル国際空港は朝から混雑していました。オープンエアのチェックインカウンターで手続きを済ませ、私より早い時間の便で出発する母たちをゲートまで見送り、残りの時間はひとりで過ごしました。

ゲート前の通路に寝転んで本を読む若い女性。駐機場を見下ろすベンチで、サンドイッチを頬張るエアクルー。こうした無防備さは治安の良さを物語っているのかもしれません。

私が乗る飛行機はボーイング747。もうすぐ引退することが決まっているジャンボジェット機です。もしかしたらジャンボジェットは乗り納めかもしれないと思うと、ちょっとしみじみした気分になりました。

順調に出発したかと思いきや、エンジントラブルで引き返すことに。幸い、部品の調達がスムーズにできたらしく、降機させられることなく再び出発。もう一度ワイキキに戻れるかという期待は泡と消えました。

結局、成田まで10時間以上もほとんどシートに座りっぱなし。私はリクライニングもしませんし、ヘッドホンも使いません。他に人がいる環境では決してリラックスできないのです。今回は3種類の映画を、それぞれほぼ2回ずつ観て過ごしました。

私は今日いっぱいまでは何のアポイントも入れていないので、先を急ぐ旅ではありません。でも、隣のビジネスマンは、成田から国内線へと乗り継いだ後、夕刻から仕事があるらしく、遅れにより乗り継ぎができないのではないかと、しきりに気にしています。

なのに、キャビンアテンダントは謝るばかりで、最善の策を講じているようには見えず、他人事ながらなんだかじれったく感じました。エンジントラブルは、悪天候や空港閉鎖と違って、管理する航空会社に責任があるように思えます。

実際、急げば間に合わないことはないタイミングでしたが、結局、予定の便に乗り継ぐことは不可能だと言われ、諦めざるを得ないと溜息をついていました。私なら強引に突っ走って乗ってしまいますが、なんとも気の毒でした。

また、狭い機内に閉じ込められてうんざりしているのか、あちこちから赤ちゃんの泣き声や、退屈した子どもたちの悪態が聞こえて来ます。いつもならそうした声にも眉を寄せる私ですが、なぜか今日は気になりません。ハワイ効果でしょうか。

であれば、いつまで効果が持続するのでしょう。とりあえず、私は今年に入って一度も怒っていません。この記録が破られるのは時間の問題だとは思いますが、可能な限り忍耐強く、そして心穏やかに過ごしていきたいものです。