突然、昔の写真で失礼しました。今朝、古いファイルを整理していたら出てきた一枚の写真。約18年前のもので、私がエレクトーンの演奏家としてデビューして間もない頃のものだと思います。

写真をみつめ、そして改めて今の自分を鏡で見ると、この18年で実に様々な出来事に遭遇し、それらが深く刻まれた顔になったものだと痛感します。

後先のことなど考えもせずに、突き進んでいたあの頃。今になって振りかえれば、十分に恵まれていたにもかかわらず、それに気付くことすらできずに、絶えず乾いた私の心がありました。

今の方がむしろ気分は解放され、エネルギッシュに人生を楽しんでいるような気がします。

午前中にいくつかの編曲を済ませ、フライトに間に合うよう、羽田空港へと急ぎました。クローゼットとなっている部屋からこの写真で着ているコートを取り出して、何年かぶりに袖を通してみました。

懐かしい装いをしても、当時の気分には戻りませんし、思い出に浸ろうという気にもなりませんが、ちょっとだけ足取りが軽くなりました。

今夜は香川県に滞在ですが、今季最も寒さが厳しく感じられます。明日はいよいよ山口県へ。長い間、私のコンサートのために準備を進めてくれている実行委員会の皆さんに会えます。

やはり、遠く離れて、私が不在の状況の中で準備を進めるのは、モチベーション的にも楽なことではないでしょう。何のために私たちは声を枯らして人を誘い、頭を下げてチケットをお求めいただいているのか、目的を見失いそうになることも少なくなかったはずです。

そうした皆さんの努力に、私はどうやって報いるのか。それは渾身の演奏を持ってお応えするしかないのだと思っています。私が人生を懸けてつかんできた音楽を、集まって下さるひとりひとりのために演奏することこそ、私にできることのすべてです。