武蔵野のうなぎ ヒルトン東京

いつでもどこでも、並んだ食事は残さず食べる。余ればもったいないですし、せっかくこしらえてくれた人にも申し訳ないので、よほどのことがなければ、きれいさっぱりたいらげるというのが、私のスタイルです。

それも、苦しいのを我慢しながら、やっとの思いで食べきっても、逆に相手に気をつかわせるので、せっかくの食べものを美味しくいただけるよう、日頃から胃腸の調子をよく保つように心がけています。

その秘訣は、とにかく楽しみながら食べること。そして、文章にするとちょっと気恥ずかしいのですが、ありがたみをしみじみ感じながら味わうことです。

楽しみながら食べるには、気の合う仲間や、刺激的で興味深い話題を共有できる相手とテーブルを囲むのが一番。私はこうした環境に非常に恵まれているということを、今週は改めて感慨を持って実感しています。

なぜなら、今週はずっとひとりきりで食事をしているからです。

これから秋のコンサートシーズンを目前に控え、少しでもスタミナをつけたいので、美味しくてパワーの出る食事をしたいところ。メンタルの面でも前向きな気流が生じるよう、スピリッツがあって洗練された食事を楽しみつつ、健康にも留意したバランスのよいメニューであればベター。そんな欲張りな要求も、美食の中心地「東京」なら、簡単に叶えられます。

普段、ひとりで食事をする機会は少なくありませんが、何かと停滞気味の気分の時は、あまり好ましくないのかもしれませんね。

土曜日のランチタイム。食欲がない中、少しでも気分が前に進むよう、馴染みの店に顔を出すことにしました。作業の時間を削りたくはないので、自宅から歩いてもいけるヒルトン東京の日本料理店「武蔵野」に向かうことに。

予約はしませんでした。もし満席なら、別の選択肢はいくつでもありますし、ひとりで利用するのに、予約というのも大げさな気がしたので。

店先に顔馴染みのマネジャーはいませんでしたが、スムーズに気持ちよく出迎えてくれました。テーブル席について周囲を見回すと、まだ正午前だというのに、すでに満席に近く、空いているテーブルには「予約席」の立て札が出ていますので、ギリギリセーフだったようです。

注文は迷わず「うな重」にしました。夏期限定でうなぎのメニューがあることは、以前より把握していたので、この店に来ようと思った時から、うな重と心に決めていたのです。

先付けにはさっぱりと「なすのおひたし」。

続いて「お造り」。

その後、しばらくして出来たてほやほやの「うな重」膳が運ばれてきました。

肝吸い、香の物、追加のタレ、山椒が添えられています。
私は山椒が大好き。芳香性健胃薬として生薬のひとつに数えられるだけあって、疲れた胃にも効果的でしょう。でも、出てきた山椒をすべて掛けてしまう客は、そうそういないのではないでしょうか。

空になった山椒の器を見て、和服姿の係は「もう少しお持ちしましょうか?」とすかさず声を掛けてくれます。

「あればあるだけ掛けたくなってしまうので、これくらいにしておきましょう。ありがとう。」と返答すると、ニッコリと応じてくれました。

量的にもほどほどで、満足できました。締めくくりは煎茶とともにフルーツが出て来ました。

うなぎを食べながら、皆さんがこのブログでも話題にしていたゴーヤメニューの数々を思い浮かべて、空想上の一皿を付け加えながら楽しみました。