お願い、音楽をさせて。

成田でのコンサートはとても気持ちよく演奏できたのですが、その直後から私にとっては不都合なことが重なり、まるで悪魔に振り回されているような気分が続いています。

月曜日と火曜日。月初めにフィックスしたスケジュールでは、楽器に向かって秋公演シリーズの稽古をする他、14曲の編曲作業を行うことになっていました。

その予定消化率はなんと0パーセント。つまり、まったく手がつけられなかったのです。気が進まなかったわけではありません。むしろやる気満々なのに、不測の用件が次々に舞い込んできて、音楽に集中できる環境ではありませんでした。

ただ忙しいのなら無心になって乗り切ればいいのですが、ガッカリするニュースばかりが立て続けに舞い込んできて、ちょっと気を緩めたら、もう立ち直れなくなりそうな気分でした。

でも、ここまでやっと歩いてきたのですから、私は決して途中で投げ出したりはしません。厄日が2日続いたところで、そろそろこの悪運も晴れてくれると期待しましょう。

それにしても、音楽的な創造作業と、事務的なこととを同時に効率よくこなすにはどうしたらいいのでしょう。難しくないことのように思えるかもしれませんが、創造的な作業時には、ステージの上とまったく同じ集中力と気持ちが私には必要です。

音楽と事務を同時に、あるいは交互にこなすことは、まるでお経を唱えながら金勘定をする坊さんとか、決勝リーグのマウンドで休暇の予定を考えるアスリートのように、不謹慎にさえ思えます。

それ以前に、両方に対して気持ちを入れ替えながら望むのは、極めて難しいことであり、大きな抵抗を感じるのです。

すでにリサイタルへの日々は始まっており、私にとっては半ば幕が上がったも同然。もう、一切わき目もふらずに、一意専心突き進みたい気分です。

リサイタルばかりでなく、せんくら、中国上海国際芸術祭、姜建華ツアー、名古屋座長公演と、私の人生にとって大きな意味を持つステージが目白押しに待ち構えています。

お願い・・・音楽をさせて。。。それが今の私の声なき叫びです。