三月のバラ

桜が満開の東京。近所の川岸に見事に咲いた桜のアーチを歩きながら、ここにエレクトーンを担いで来て「さくら」を弾いたらさぞ気持ちいいだろうなと思いながらも、実現する勇気のない私です。一方で、私の3月はバラ尽くしでした。

最初のバラは、子どもの時に音楽教室で同門だった仲間の結婚式。旦那さんがバラの専門家なので、披露宴会場は色とりどりさまざまな表情のバラで埋め尽くされました。想いを込めたバラと、大好きな音楽、気取り過ぎない料理。そのシンプルでエレガントなもてなしがとてもいい感じ。エレクトーンを持ち込み、クラシックの名旋律で人前結婚式を彩り、披露宴はこの日のための自作曲で入場行進。祝宴中はTANEちゃんのピアノが心地よく響き、お色直しはエレクトーンとピアノとのアンサンブルで。和やかなひとときでした。

19日はラ・パレットのサロンコンサート。「Spring Tune」と題して、春を思わせる音楽を集めてみました。お料理も皿の上に春が来たような爽やかさ。ディナーの時は、私もテーブルについて料理をいただきましたが、丁寧に下ごしらえされ、一品ごとに思い入れが感じられて、その後の演奏にもインスピレーションをもらえました。最近は、半ば出来合いの業務用食材を使う店ばかりですが、素材からスパイスまできちんと吟味して、すべてが厨房で作られる料理は、やっぱり一味違います。

誕生日ケーキを出してくれましたが、演奏直前だったので、後にすることに。ところが、残念ながらそのまま忘れて帰って来てしまいました。

この日も、たくさんの花束が。フォトグラファーの真理子さんからは、バラのラウンドブーケ。若い音楽家姉妹からは、フレッシュな印象のアレンジメント。そしていつもラ・パレットに花を贈ってくれるNAMIEちゃんからは可憐なバスケット。ラ・パレットには新鮮な花がよく似合います。

22日はSongs from my Heartの10年記念コンサート。ギリギリまでリハーサルに励み、少しでもよい演奏をと張り切ったコンサートは、10年の集大成として思い出に残るものになりました。開場が遅れてお客様にはご迷惑をお掛けして申し訳ありません。気が付くと、写真一枚撮る余裕もなく、すべては記憶の中だけに。でも、私をまた一歩前進させてくれたこのコンサートの思い出が薄れることはないでしょう。

24日の誕生日は、30年以上ぶりに家族と過ごすことができました。宮野佑実子・聖子姉妹の演奏会を鑑賞しに、神楽坂へ。ひんやりとした空気の一日でしたが、若いふたりの活躍を見ながら、家族と肩を並べる幸せをしみじみと味わえて胸一杯に。そして、誕生日にもたくさんのバラが届きました。一番上の写真は、歳の数のバラ。私の葬式の時も、菊よりバラがいいです。