古稀殿 at グランドプリンスホテル高輪

梅雨の中休みとなった真夏日の東京。
久しぶりに終日自宅で過ごすスケジュールでしたので、次の旅の支度や夏物衣料のディスプレイなどに加え、書類の整理に勤しんでいました。

ふと見ると、プリンスホテルの食事券が。しかも使用期限が今月の23日。
スケジュール的にはもう空いている日がなく、このままでは無駄になってしまいます。

この食事券でどれほどの料理が振舞われるのか、その内容も相当額も書いてないので、このまま使えなくなったとしても大きな損失ではないかもしれませんが、内容がわからないだけに気になります。

だったら、今日行ってしまおう!
夜は別の店で食事をする約束でしたが、待ち合わせを変更して高輪のプリンスホテルで友人と落ち合うことにしました。

予約した店は中国料理「古稀殿」。
開店から33年という長きにわたり料理長を務めているのは潘継祖さん。プリンスホテルズ&リゾーツ全体の中国料理長でもあり、潘さんを師と仰ぐ料理人が全国にいます。

潘さんの料理はどこまでもオーセンティック。基本に忠実な料理の数々は、シンプルな品ほど、そのよさがあらわれています。

ただ、プリンスホテルという大きな組織の中にある店ですので、素材選びや人材など、料理人の思うようにはいかないところも少なくないのでしょう。今日は失敗だったと思わざるを得ない状況にも、残念ながら何度も遭遇しました。

今日はどうでしょうか。
予約したよりも少し早く到着しましたが、プリンスホテルにしては珍しい若くて男前なマネジャーが入口で出迎え、半個室状になった窓際の席に案内してくれました。

なんと、他に客がいません。20時というレストランが一番賑わう時間帯なのに、150席に迫る巨大店舗がこれほどの閑古鳥とはショックでした。

数少ない客として丁寧に迎えられながら、無料招待券で食事とは本当に申し訳ないと思いつつ、サーティフィケートを差し出しましたが、イケメンマネジャーは「かしこまりました」とほほ笑んでくれました。

飲み物は、釣魚台国賓館で使われている10年紹興酒と、15年プーアール茶を注文。飲み物が出てからしばらくして、3種前菜が運ばれてきました。

続いて車海老とアスパラガスの炒め

料理としてはこれが一番美味しく感じました。自家製食べるラー油が添えられ、アスパラ、キノコ、エビの歯触りがそれぞれに楽しめました。ただ、カゴに見立てたポテトの細切り揚げはとても食べられる味ではありませんでした。ポテト大好きなのに、残念!

フカヒレスープ

蟹爪

酢豚

牛肉とピーマンの細切りかた焼きそば

フルーツ入り杏仁豆腐

料理は以上7品のコース。いずれも熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供され、味付けのほど良さにも申し分ありませんでしたが、このコースは通常のメニューにはなく、いくら相当なのかはわかりませんでした。
結局、他に客は一組だけと、とてもさみしいディナータイム。週末は賑わいますが、平日ももう少し活気があってほしいものです。

帰る時も、イケメンマネジャーがエレベータの扉が閉まるまで見送ってくれました。こうした丁重な接客もホテルならではです。

高輪のプリンスホテルには見事な庭園があり、食事の前後に散策するのも楽しみのひとつです。夜はライトアップされ、幻想的な雰囲気。都会の中心にあるとは思えない静けさと安らぎを味わうことができます。