エレクトーンプレミアムコンサート

今日はヤマハホールでのエレクトーンプレミアムコンサートでした。
新しいホールでの新しい体験は、私にとって、忘れられないものとなりました。

今朝はいつも通り午前5時に起床。ランニングはお休みし、丁寧にストレッチしながら、今日のコンサートで曲目解説をする際に必要な情報を頭に入れていきました。

いつもより朝食をたっぷりとり、一日中持続するエネルギーを蓄えます。
ゆっくりと身支度をして、午前9時半の集合時間までにヤマハホールの楽屋に入りました。

会場はほとんど準備が整った状態。それもそのはず、舞台の仕込みは前日から行われていました。
コンパクトなステージには、2台のエレクトーンの他、ドラムセット、アヴァングランド、スピーカーやモニター類などがところせましと並んでいます。

333の客席はステージとの距離もほどよく、お客様と一体になれそうな予感です。
ただ、音は高い天井にぐんぐん昇っていく印象。ピアノのコンサートには最適でしょうが、エレクトーンがどのように響くのかは、やってみなければわかりません。

リハーサルは第3部のAYAKIさん率いるバンド演奏からスタート。
どうも、ステージ上で演奏者に聞こえている音と、客席に届いている音には、かなりの差がある様子。
余計なことを言う立場ではないと知りながらも、いたたまれずAYAKIさんにありのままの感想を耳打ちしました。

続いて第1部の中野さんと沈さんのリハーサル。若々しさが光るダイナミックな演奏は、私がすでに失ったものでできており、思わず自分が若かりし頃を思い出してしまいました。

最後にサイさんと私。ソロはそっちのけで、歌合わせだけサラッとさせてもらいました。どう響くのか、どう聞こえるのかだけわかれば十分なので、それほど時間はいりませんでした。
他の皆さんは、響くホールだということでリバーブの調整に注意していたようですが、私はデータにはいっさい手を加えず、テンポとタッチだけでコントロールします。ここより響く会場はいくらでもありますから、いちいちデータをいじっていたら、対応しきれません。

とりあえず、サイさんがどう歌うかがわかって、本番の方針が決まりました。
5年ぶりの曲は、テンポや表現が大きく変化しており、昔のクセで弾いてしまわないように注意が必要です。

また、PAが事前にリクエストしていた状態とは大きく違ってたので、それに慣れる必要もありました。ここで約束と違うと言い出しても仕方がありません。こういう時は、適応力を持った者の勝ちです。

満席のお客様をお迎えして始まったコンサートは、最初から盛り上がりました。
第1部のおふたりが演奏した曲も、魅力的な作品ばかりで、自分の出番を忘れてうっとり聞き入ってしまいました。

やがて、中野さんに呼びこまれて私もステージへ。舞台転換の間は、中野さんと私のトークです。
若い人を見ると、反射的にいじめたくなってしまう私。「神田さんにとってエレクトーンの魅力はなんですか」との質問に、「中野さんにとっては?」と、まんま返し。でも、模範解答のように説得力のある説明を聞かせてくれました。

続いてソロ「オペラ座の怪人」。
な~んか、音が気持ちよくないな、と思いながら弾いていたのですが、たぶん、モニターの音ばかり聞こえて、会場からの戻ってくる音がよく聞き取れなかったからでしょう。

不完全燃焼で、サイさんを呼びこみ、まずは「慕情」。
これもまた、な~んか、気持ちよくない。サイさんの声は、反射音ばかり聞こえて、自分の音はダイレクト音。この環境で、耳で弾いたら合わなくなってしまいます。こうなったら、サイさんが発する「気配」に頼ることに。

それでも、時折、変なところが共鳴して、ネズミの鳴き声みたいな音が聞こえてくるので、何度も気が散らされて、本当に弾きにくかったです。

続いてオペラ「トゥーランドット」のアリア“氷のような宮殿で”。
だいぶ環境に慣れて、音にはほとんど惑わされなくなりましたが、完全に演奏に集中することは諦めた方がいいと腹をくくりました。
それにしてもサイさんの歌声は圧巻。支え甲斐があります。

同じく「トゥーランドット」から“誰も寝てはならぬ”をソロで弾き、「蝶々夫人」から“ある晴れた日に”と“かわいい坊や”を。
演技を交えたサイさんの歌唱により、ステージはまさにオペラの世界へ。私も音ひとつひとつに表情を持たせ、ドラマチックな演奏を心がけます。

最後は「魔笛」より夜の女王のアリア。リハーサルの時は、今日は魔笛は歌わないと敬遠され、差し替え曲を急遽用意しましたが、蝶々さんが終わった後、サイさんに「次はどうします?」とささやくと、「魔笛」との返事。

そうこなくっちゃ!
やはり、サイさんの夜の女王を聞かなければ、コンサートは終われません。
それにしても、トゥーランドットと蝶々さんを歌った直後に魔笛とは、サイさん、やっぱりすごすぎです。

私も久しぶりのサイさんとの共演を、心底楽しませてもらいました。

その後のAYAKIさんのアンサンブルも大いに盛り上がって、コンサートは無事に終了。

3時間に及んだコンサートでしたが、4人のエレクトーン演奏家、そして素晴らしいゲストの方々の魅力がそれぞれに光った、ステキなコンサートでした。

今日は多くのファンの方々にもご来場いただき、お菓子やお花の山に囲まれ、シアワセな一夜を過ごしております。
応援、ありがとうございました。