並ばない男

神田将は決して列に並びません。
そう断言すると、列を無視した横入りの常習犯のように思われるかもしれませんが、もちろん神田将はそんなこともいたしません!

私は並んで待つことが苦手というよりは恐怖でさえあって、その必要がある時ですら、並ばなくてよい手段を考えます。
たとえば、飛行機や電車に乗る時は、列を見送り、最後に乗り込みますし、窓口やレジで並ばなくて済むよう、あらゆる買い物はネット決済か外商です。

並んで待つ間、誰かと会話をしたり、他の考え事に集中していたりすれば、さほど苦にならないのかもしれませんが、私には「待つこと=停滞」というイメージがあり、その間にエンジンが冷えてしまうような気がして怖いのです。

もし、自分の人生における時間の使い方を臨終の床で分析したとして、いったいどれほどの時間を待つことに費やしたことになるのでしょう。
人の平均的な一生のうち、信号待ちだけですら、合算すると2週間にもなるのだとか。

まぁ、待ち時間が数時間とか1日とか長くなるのであれば、その時間を有効に使う手立ても考えやすいですが、5分や10分という半端な時間は、ただただ無駄になることが多いように思います。

それだけに、並ばない工夫というのは、時間を有効活用する上では効果的です。

待つための列とは状況が異なりますが、最近、レストランのブッフェで、端から並んでいる人を多く見かけます。
ブッフェは配給ではありませんので、列で並ぶよりは、その列がなくなるまで、自分の席で待つ方がずっとスマートです。

それに、ブッフェ料理は隅から順番に取り分ける必要はなく、列を無視して空いているところから取り分けても、一向にかまいません。
大抵の場合、列の先端付近はガラガラですし、人の動きがランダムになった方が、不思議と流れがスムーズになるようです。

さて、好天に恵まれた今日、私は一日銀座で過ごしていました。
歩行者天国には、人、人、人。
それはもう祭のような人出でしたが、街ゆく人々はのんびりと初夏の陽気を楽しんでいるようでした。

アバクロやバウムクーヘンのねんりん家には、驚くほどの長蛇の列。その忍耐力と好奇心には脱帽です。時間を無駄にしてでもくらいつくほどの魅力とは何なのでしょう。まあ、大阪ならどこででも買える551の豚まんに、東京では1時間も並ぶのですから、その心理は測り知れません。

カフェというカフェにも長蛇の列。
混雑して騒がしい店に、並んでまでして入っても、ブレイクにならないのでは?と思いますが、どうなんでしょう。

私は銀座ヤマハの12階にあるスタジオで、リハーサルをしていました。
新しいヤマハの音楽教室は、まるでブティックのように洗練されたデザインが施されていて、眺めのいい静かなラウンジがあり、レスナーさんには無料で各種ソフトドリンクが提供されます。

今日は連休中でレッスンがほとんどないため、この広いラウンジを独り占めしながら、銀座通りの人々を眺めていました。

かつての音楽教室にはセンスのかけらも感じませんでしたが、ついにここまで来たかという印象でした。
こんな教室なら、私も通ってみたいです。サックスでも習おうかな・・・