神田将コンサート in 香川

今日は念願の四国デビューコンサートでした。

前夜には一時的に豪雨が降り、朝になって天候は回復したものの、海岸を中心に強風が吹き続けており、地元の人がいうには「瀬戸大橋を通るJRは止まっている感じの風の音」だったそうです。

幸い交通に乱れはなく、今日のコンサートに遠方から駆けつけてくれた皆さんも、予定通りの到着でした。

今回のコンサートでは、個人が所有する楽器をお借りすることができました。しかも、プロフェッショナルモデルですので、思い切りプレイできます。

ご自宅の3階にある楽器を、前日に解体しておき、ボランティアの皆さんが早朝から運搬をしてくれました。男性陣の手助けは、こういう時が一番頼もしく感じます。

ちょうど楽器が届くと同じころ、私も会場入りしました。
すでに音響機材や照明の準備が始まっており、仮設のステージも用意されています。
早速、バラバラのエレクトーンを組み立て、音響機材に接続。
さて、弾こうかと思いきや、イスが見当たりません。

「イスは・・・?」と尋ねると、男性陣はゆっくりと顔を見合わせ、次の瞬間、「あっ!」と目を見開き、大きな忘れ物に気が付きました。
「イスがなくてもなんとかなりますから」と言って、気を楽にさせてあげたいと思っても、さすがに「立ち弾き」はちょっと・・・

すると、近所に住むサポーターのひとりが、ご自宅にカスタムモデルを所有しているとのことで、すぐに取りに帰ってくれました。

その間に、お客様用のイスが並べられ、受付などの準備も進んでいきます。
ほどなくエレクトーンのイスも揃い、リハーサルを開始しました。

今回使用した音響設備はBOSE社製のものでした。
BOSEと言えば、信頼のおける音響メーカーですが、私はクラシック音楽メインのコンサートでBOSEを使用した経験はほとんどないので、響きの特徴をつかむことに専念する必要がありました。

会場も、いわゆるコンサートホールではなく、多目的フロア型でしたので、リッチな響きは期待できません。
その環境でBOSEを使った場合、中音域の音痩せが顕著になり、音量は得られても圧が不足する印象でした。

とりわけ、ピアニッシモなど繊細な部分は、か細く消え入るようになってしまうので、普段でもエクスプレッションペダルをほとんど使わない私ですが、今回はいつも以上に「ほぼ常時MAX」の状態でコントロールしなければなりませんでした。

でも、皆さんが両サイドやリアにパネルを立てたり、スピーカーの位置を微調整するなどして、客席のどこで聞いても、ある程度バランスのいい音となるよう工夫してくれました。

このように特殊な音響環境でしたが、プログラム通りのゲネプロを行って、注意点をすべて把握したことで、本番中は演奏に神経を集中できるようになりました。

いよいよ本番。
オープニングには、香川で優秀な生徒を世に輩出し続けているベテラン講師さんが、私のためにはなむけの挨拶をしてくれたので、とても光栄に感じながらステージに進むことができました。

今回集まって下さったお客様は、エレクトーンのことをまったくご存じない方から、コンクールの全国大会にエントリーするほどのエキスパート、そして先生方、音大生などの音楽関係者まで、幅広い方々でした。

どの方々も大変熱心に聞き入ってくれているのが、演奏中でも背中にひしひしと伝わってきます。
私がトークをしている間にも、特に子供たちが真剣なまなざしを向けてくれており、演奏中に至っては、まるで私の全身を射抜くような強烈な視線を感じていました。

約2時間のコンサートはあっという間に終わってしまいました。
携わって下さった皆さんが本当に素晴らしく、そうした皆さんが集めて下さったお客さまですから、お客さまもまた素晴らしかったです。

おかげさまで忘れられない四国デビューとなりました。

名残惜しく香川を後にし、今晩は大阪にショートステイ。
明日は早朝の便で出発します。

今夜は心地よく眠れそうです。
応援して下さった皆さま、ありがとうございました。