チャリティーディナーの夕べ

グランドパーク小樽で開催されたチャリティーディナーの夕べが終了しました。

お客様の受付は16時からなのですが、一番乗りのお客様はなんと午前10時半から並んで下さいました。というのは、早く来たお客様から、好きな座席を指定できる「当日指定制」なので、よいお席をご希望の方は、毎回早い時間から並んで席を確保しています。それだけ期待が高いということですので、リハーサルにも自然と力が入ります。

まずはステージ作りからスタート。ホテルの大宴会場での催しなので、こちらの希望に合わせて、ステージを組み立ててもらいますが、今回は舞踊がメインですから、いつもより広いステージが望まれます。
ところが、お客様は今回も超満員。会場にはテーブルや椅子がひしめいており、十分に広いステージを確保するのは難しい状態です。

そこで、踊り手も立ち会いのもと、実際に動いてみたりして、ギリギリの線で折り合いをつけます。
同時に照明や音響の機材が次々と運び込まれ、ステージが組み上がるや否や、それらの機材も組み上げられていきます。

こうした「仕込み」は午前中いっぱいを要し、リハーサルは午後1時半からスタートしました。
音響さん、照明さんも含め、一同で流れを確認し合いながら、丁寧にリハーサルします。

こうした「一度限り」の企画は、「流れが理解できた時には、もう本番が終わっている」ということがほとんどですが、途中で取り返しのつかないトラブルや失敗がないよう、確認は念入りに行いました。

流れを一通り追ってみて、私が一番反省したのは、踊り手である李さんの体力的負担が極めて高すぎたという点です。
私のプロデュースするステージはどれもそうですが、演奏者にかなりストイックに演じてもらいます。先日のラパレットでの伊藤さんもそうでしたし、自分自身がいつも極限をうろうろしているので、それが当たり前になっているのかもしれません。

李さんたちに前日に小樽入りしてもらって、本当に良かったと思いましたが、あまりリハーサルを詰め過ぎると本番が厳しくなると判断し、早めに切り上げて休んでもらうことにしました。

その後は、私ひとりステージに残り、即興コラボの素材となるエレクトーンの音色データを仕込みました。
それから、今日合わせてみて初めてわかった韓国リズムの雰囲気を、少しでも体に染み込ませるために何度も繰り返し稽古しました。

そうこうしているうちに、もうお客様の入ってくる時間になりました。
一度部屋に戻って着替えを済ませ、本番までの間にトークの内容を吟味しました。

今回は韓国の伝統芸術に関して、簡単にではありますが、解説をしなければなりません。韓国語で歌われるパンソリの内容や意味などを説明するのも、私の役目です。
初めて耳にする韓国語固有名詞がたくさんあるので、それを記憶するのに必死でした。

いよいよ本番スタート。
司会が紹介する中、暗転中に私が板につきます。
そして、演奏をきっかけにショーがスタートします。
最初は韓国の夜明けをイメージして厳かに始まり、曲想が韓国伝統楽器のアンサンブル風アレンジに変わると、色鮮やかな衣装に扇を持った李さんが登場し、華やかな「扇の舞」を披露。

続いては金さんのパンソリと李さんの太鼓のアンサンブル。恋の歌「サランガ」を歌いました。「韓国の吟遊詩人」と謳われるパンソリは、とても情感がありダイナミックです。
私は生の演奏を初めて聞きましたが、とてもインパクトがあり新鮮でした。
聞けば、わざわざ声を枯らせて、太くハスキーな声が出るようトレーニングを重ねたのだとか。昔は滝の裏に入って歌い、滝の表で聞こえなければならないという練習法があったそうです。
金さんはチェ・ジウさんばりの美人ですが、そのおとなしそうな様子とはまったく違った迫力の演奏に、会場も釘付けでした。

次は李さんによる「サルプリ」舞踊。これはもともと巫女舞だったものが、独立した芸術舞踊として進化したのだそうです。黒い衣装にスゴンと呼ばれる白い布を持って、ほとんど無表情で舞い踊りながら、情念を晴らす女性の内面を表現します。

「サルプリ」が終わると、李さんが韓国語で挨拶。その途中で突然流暢な日本語に変わると、会場が沸きました。
そこまでシリアスな雰囲気が続きましたが、ここで少しリラックスしていただこうということで、私のソロで「美しく青きドナウ」を聞いていただきました。

韓国の曲はほとんどが3拍子で書かれています。同じ3拍子のウインナワルツを選んだのは、文化によって同じ拍子でもこうもノリや雰囲気が違うという対比をお客様に感じていただきたかったからです。

エレクトーンソロの後は再びパンソリでシリアスな「スッテモリ」。先ほどの「サランガ」より一層スリリングで、言葉がわからなくても、何か胸に迫るものが感じられました。

最後はチャンゴと五面太鼓。李さんがステージ後方から登場すると、場内は大きな拍手に包まれました。チャンゴを打ちならしながら会場を練り歩く李さん。後方にお座りのお客様にも触れあいたいという李さんの心遣いです。

李さんがステージに戻ると、私がそのリズムを引き継いで、冒頭の「扇の舞」のテーマを使って、幻想的な即興演奏をし、また李さんの五面太鼓へとつなげていきます。

李さんが五面太鼓を激しく打ち鳴らすと、私もそこに思いつくがままの合いの手を入れて行き、クライマックスを迎えて終幕となりました。

アンコールは3人で「珍道アリラン」をお届けしました。
時に妖しく、時に躍動的な韓国の文化を満喫していただいた一夜でした。

李さんも今回のアンサンブルに大きなインスピレーションを感じて下さったようで、これを発展させ、ひとつの作品を共同で書き上げて、日本と韓国で公演をしようという話が盛り上がっています。ぜひ実現させたいと思います。

本日ご来場の皆さま、遠くから応援して下さった皆さま、本当にありがとうございました。