東京に久しぶりの雨が降った14日は、中野区野方のALT_SPEAKERで昼夜2回のライブ公演でした。
昼はヴォーカリストSATIさんのスムーズジャズ、夜はクラシックオンリーのエレクトーンソロと、テイストがまったく異なる内容を同じ空間で体験でき、よい思い出になりました。まずは昼の公演から振り返ってみます。
かつて東中野にあったALT_SPEAKERが野方に移転してからは、今回が初めての出演。どんな店になったのか、とても楽しみ。
レトロな商店街を抜けた先に、真っ赤な扉が目に飛び込んで来て、すぐにここだとわかりました。
場所もレイアウトも東中野とは違いますが、中に入ればそこは確かにALT。馴染みがあり、懐かしい雰囲気に一安心。頼もしい赤井店長も以前と変わらないパッションで迎えてくれました。
さあ、お客様を迎えるまで90分。リハーサルでは、サウンドを整えたり、曲の流れを確認。笑いの絶えない和やかなムードは、まるで遠足のバスの中みたいでした。これなら、本番もリラックスしてできるでしょう。
あまり決め込み過ぎずに、じゅうぶんな余白を残して、本番でも遊びを大切に面白いことをやる。まだ共演回数は数えるほどですが、不安はありません。
開場してから開演の間も、客席でお客様とのコミュニケーションが取れるのもライブハウスの魅力。自分の家に友人を招き、演奏を一緒に楽しむようにして、自然な流れで本番がスタートしました。
今回は全曲バラードオンリー。10曲も穏やかな曲が並ぶと重たいかなと思いきや、やはりこのしっとり感こそがSATIさんの魅力ですし、テイストがまとまることでメッセージ性が上がった気がします。
演奏はバンマスを担当した種村敬子のピアノがリードして展開。種村が得意とするシンプルにして聞きやすい和音選択が心地よく優しい空気を作り出します。そこにSATIさんの深い声が乗り、独特の世界が広がっていく。私は、そのふたりの対話を見守り、対話の弾む相槌を入れる立場に留めました。
ふたりとも大好きだというブラジル系のダークでロマンチックなサウンドや、SATIスタイルに生まれ変わったバブル前のJポップ、クラシックなど、選曲のセンスも光っていたと思います。
また、店の雰囲気が素敵で、縦長の空間にソファがステージの向きに並ぶレイアウトから、なんとなく列車で演奏しているような気分になりました。
走らない列車で、どこまでも自由に旅をする。この日、ここに集まった人がまったく同じ顔ぶれになることはまずないでしょう。だからこそ、この一度限りの旅が特別に思えるのかもしれません。
夜のライブについてはまた次回。
【Set List】
O Cantador(LIKE A LOVER) 作曲:Dori Caymmi 作詞:Nelson Motta
As Time Goes By 作曲・作詞:Herman Hupfeld
Midnight Blue(悲愴) 作曲:Ludwig van Beethoven 作詞:Carole Bayer Sager ※ベートーヴェン「Piano Sonata No.8 “Pathétique”」第2楽章をもとにした作品
瑠璃色の地球 作曲:平井夏美 作詞:松本隆
As Rosas Não Falam(薔薇は語らず) 作曲・作詞:Cartola(Angenor de Oliveira)
見上げてごらん夜の星を 作曲:いずみたく 作詞:永六輔
Setembro(セテンブロ) 作曲:Ivan Lins / Gilson Peranzzetta 作詞:Vitor Martins
Ave Maria 作曲:Franz Schubert
還る(オリジナル) 作曲・作詞:不破佐知子(SATI)
Woman “Wの悲劇”より 作曲:呉田軽穂 作詞:松本隆
写真:上田海斗











