2025年のソロコンサートは21日の山口市公演で締めくくりました。
山口市には20年に渡りほとんど毎年お招きいただいており、ダントツ一番のリピート回数になっています。飽きもせず懲りもせず神田将を愛してくださる実行委員の皆さまとお客様に、改めて深く感謝いたします。
今回のプログラムを決める際には、この類稀な連続性に心動かされ、これまでにない演奏をお届けしたいと切望しながら、自分に大きな負荷を掛けた曲目を選び、前後のスケジュールを空けて、じゅうぶんな体力と精神力で向かえるように調整して臨みました。
会場は慣れ親しんでいる旧県会議事堂ですし、スタッフの皆さまは安心して準備をお任せできる顔ぶれとあって、私は一切の不安なく当日を迎えました。ただ、一点を除いて。
それは私自身のコンディションです。今年は体調不良に悩まされましたが、この状況は長く続く見込みであるため、演奏会の継続には厳格な体調管理が欠かせなくなりました。
人前に立つ仕事の方々は皆そうだと思うのですが、表に出ている間は気が張って何とかなってしまうものでして、具合がよろしくないようには見えません。
以前は見せないようにと気を付けていたのですが、今では無理をしてご迷惑を掛けるくらいなら、あるがままで居ようと決めています。それでも本能が許してくれないので、自分でも呆れるくらいに元気に振る舞ってしまうのです。
その付けは当然、終演後に一気に押し寄せて来ます。手が震えてカフスも外せず、タキシードのままベッドで休むことが多くなりました。
今回も無事に幕が上がること、そして、上がった幕が無事に下りること、それだけを祈りました。
スタッフの皆さまが早い時間に会場を整え、いつでもリハーサルができるようにしてくれていても、私は弾き始めることができずにいる中、体力を消耗せずに必要な確認を行えるよう、適切なタイミングを見計らい、短時間で済ませました。
やがて開演した本番では、あえて気分を盛り上げすぎないようにして、落ち着いた演奏を心掛けました。
そのように仕立てた空気感に、お客様は調子を合わせて付き合ってくださいまして、上品でありながら内なるエネルギーに衝き動かされるような、よい音楽体験を味わえる空間になったと思います。
後半は「新世界より」でした。前半にも「ラプソディ・イン・ブルー」や「バッカナール」など、ちょっと大掛かりな曲を弾いていたので、休憩の短時間でリカバリーし切れず、右腕に感覚のない状態で弾き始めることになり、これでは50分は持たないと考えて、少し前に進む弾き方にシフトしました。
第3楽章のあたりで一度限界を感じ、そこに追い打ちをかけるようにして集中力を奪う事象がいくつか起こりましたが、なんとか最後までたどり着けてよかったです。吹っ切れたこともあって、アンコールのボレロは気持ちよく弾きました。
お客様の拍手はとても力強く、晴れやかで輝いている表情が演奏スペースからもしっかりと見えました。私は少しはいいことが出来たのかもという安心感を与えていただいた気がします。ありがとうございます。
写真:上田海斗








