セリーズ by ゴードン・ラムゼイ

今日は気の置けない友人とのランチに、コンラッド東京にある「セリーズ by ゴードン・ラムゼイ」を訪れました。
スターシェフの料理を気軽に味わえるブラッセリースタイルの店ですが、この日は混雑することもなく、静かで落ち着いた雰囲気でした。

この店は、営業形態がユニークです。
本来は窓に面した広いダイニングホールが「ゴードン・ラムゼイ」で、店の入り口付近に設けられた小ぢんまりとした空間が「セリーズ」に充てられていました。
入口付近の空間は今でも終日「セリーズ」の扱いですが、ダイニングホールの方は朝と昼は「セリーズ」で、夜になると「ゴードン・ラムゼイ」として使い分けられています。

こうした営業形態を取っている背景には、オペレーション上の事情があるようですが、そもそもブラッセリーとファインダイニングとの空間配分に対する予測が甘かったのではないかと思います。

いくら高級ホテルでも、田舎のリゾートでない限り、宿泊客がこぞって高級レストランを利用することはなく、宿泊客からはむしろセンスのよい料理を気軽に味わえるヘルシーな店が求められます。

また、客観的に見る限り、ここのホール席が満席になってしまうと、厨房の設備が追いつかず、順調に料理が提供できないように思えます。一方、ブラッセリーの方は狭く、窮屈過ぎます。

今更改装するのも難しいでしょうけれど、改装する機会があれば、ファインダイニングとブラッセリーのゾーンをはっきりとわけ、内装の質にも大きな差を設けた方がいいように思いました。

ランチタイムにファインダイニングのテーブルを利用できるのは結構なことですが、テーブルセットも簡易的なので、ゴージャスさは全く感じられません。

コースは2種類。3皿構成で3,800円のもの、4皿構成で5,000円のものだけのシンプルなメニューです。
以前はそれぞれ好みの料理をチョイスできるプリフィクススタイルでしたが、現在はそれぞれのコースで料理内容がほぼ決まっており、選択肢はかなり限られる印象でした。

今回は5,000円のコースを選びましたが、冷前菜、温前菜ともにポーションが少なく、あまり味わった気がしません。
次がメインだなんて、あまりに味気ないと思い、温前菜が済んだところで慌てて魚料理をエキストラで追加しました。

魚や肉はそれなりのポーションですが、それでも控えめに感じます。
盛り付けや味にはゴードン・ラムゼイらしさがあり、繊細な一面が伝わってくるだけに、ダイナミックさがないことが惜しまれました。

ただ、店としてはお客に喜んでもらおうと、情熱を持って工夫していることは確かです。これから先、どんなサプライズで楽しませてくれるのかに期待したいと思います。